2011年9月19日月曜日

「ヨハネの黙示録」ガイドブック 1章4~8節 諸教会への挨拶(その1)

  
諸教会への挨拶 1章4~8節(その1)
  
パウロが手紙を諸教会に書き送ったのとおそらく同じようなやり方で、
ヨハネは「ヨハネの黙示録」を小アジアの七つの教会に書き送りました。
ヨハネの挨拶もまた、パウロの手紙のはじめの挨拶に似ています。
ヨハネは諸教会に恵みと平和があるように、と書いています。
4節では、ヨハネについては名前だけが記されており、
それ以上のことは語られていません。
これは、ヨハネが皆によく知られた人物であったため、
詳しい説明が要らなかった、ということを示しています。
またこれは、「ヨハネの黙示録」の書き手が
イエス様の弟子のヨハネであったことを裏付けるものです。
キリスト教会の保持してきた信頼のおける伝承によれば、
このヨハネは、まさに「ヨハネの黙示録」が書き送られた諸地方で、
約30年間ビショップ(教会の長)として活動していました。
  
後ほどその名前が列挙されることになる七つの教会は、
ローマ帝国の小アジアの属州内にあった諸教会の一部にすぎません。
何故これら七つの教会のみが取り上げられているのでしょうか。
名が挙げられている教会には、
他の諸教会にとっても参考になる事例がいろいろありました。
「ヨハネの黙示録」は、
七つの教会には他の諸教会の模範になるような美点がある、と語ります。
しかし一方では、
七つの教会で表面化したさまざまな罪についても言及しています。
そして、他の諸教会がそのような罪に陥らないように、と警告しています。
列挙されている七つの教会は、
他の諸教会も含めて教会生活一般がどのようなものになりうるか、
それらのよい点も悪い点も含めた包括的なイメージを提供しているわけです。
おそらくはそれゆえに、
「ヨハネの黙示録」はこれらの七つの教会についてのみ語っているのでしょう。
ちょうど「七つ」の教会の名が挙げられている理由は、
聖書で七は完全性を表す数だからでしょう。
つまり、七つの教会は、同時にキリストの教会全体、
およびすべての各個教会のことをも表している、ということです。