2017年1月25日水曜日

「ローマの信徒への手紙」ガイドブック 16章7節 ユニアスとアンドロニコ(その3)

ユニアスとアンドロニコ 167(その3)

以上述べてきたことから、
「女性使徒」の存在は想像の域を出るものではないことがわかりました。
もしも「ユニア」という読み方が正しく、
また、このユニアが「アポストロス」だったとするなら、
この言葉はここでは広い意味で使われていたことになります。

「女性牧師制」をセンセーショナルな話題として取り上げた
フィンランドの新聞や雑誌が「女性使徒の発見」なるものに異常な関心を示し、
「コリントの信徒への第一の手紙」143336節や、
「テモテへの第一の手紙」2915節など、
このテーマに直接関係する聖書の箇所を無視したのは、
聖書の教えを軽んじる今の時代の風潮を反映するものだと言えます。


ところで、
この「ユニアス」か「ユニア」か、という名前の問題は、
研究者たちがわずか一節の一部からさえも
実に多くのことを導出できることを示す好例です。

パウロはユニアス(ユニア)とアンドロニコのことを
「同族」、「一緒に投獄された仲間」と呼んでいます。
彼らはパウロ自身よりも以前にキリスト信仰者とされた人たちでした。
彼らは「使徒たちの間で大いに評価されていた」人たちでした。

2017年1月18日水曜日

「ローマの信徒への手紙」ガイドブック 16章7節 ユニアスとアンドロニコ(その2)

ユニアスとアンドロニコ 167節(その2)

ギリシア語の原語本文に基づく限り、
名前がユニアス(男性)なのか、ユニア(女性)なのか、
確実なことは実のところは何も言えません。
どちらも文法上ありうる形だからです。
ユニアヌスという男性の名前は
ユニアスという短縮形の名前で記されることがありました。
他にも、シルワーヌスという名前がシラスに短縮されたケースがあります。
最終的には、確率的な結論を下すほかありません。

「この二人は使徒たちの間で大いに評価されていた」、と原文は記しています。
これは二つの意味に取ることが可能です。
一つは、「両者は高い評価を受けていた使徒だった」、という解釈です。
もう一つの有力な解釈は、
「使徒たちが彼らのことを高く評価していた」、というものです。

「使徒」と訳される「アポストロス」というギリシア語は
「派遣された者」、「メッセージを伝える者」という意味を持ち、
広い意味でも狭い意味でも使用することができます。
それは、狭い意味では十二使徒を指し、
パウロさえもその中には含まれていません。

それよりもはるかに広い意味の使用例としては、
フィリピの信徒たちがパウロの許に派遣したエパフロデトが挙げられます
(「フィリピの信徒への手紙」225節)。
この箇所における「使徒」の意味は
「メッセンジャー、すなわち使者」というものです。
このことからわかるように、この言葉の意味を考える時には、
その狭い用法と広い用法とをしっかり区別しなければなりません。