2012年11月16日金曜日

「ヨハネによる福音書」ガイドブック 1章35~51節 最初の弟子たち



最初の弟子たち 13551

「ヨハネによる福音書」によれば、
イエス様の最初の弟子たちは元々は洗礼者ヨハネの弟子でした。
(イエス様の)ヨハネからの受洗の時(122節)以来
イエス様に従ってきたグループの中から
ユダの代わりとなる使徒を選ばなければならなかった、
と語る「使徒の働き」(121節)もまたこのことを裏付けています。

「ヨハネによる福音書」は弟子の召命の出来事を詳細に描き出しています。
その表現の仕方は他の三つの福音書とはかなりちがいますが、
基本的な流れは共通しています。
イエス様は12人の弟子たちを召されました
(「ヨハネによる福音書」667節)。
また、ペテロは12弟子の中でも特別な地位にありました。
最初の二人の弟子たちは
洗礼者ヨハネの助言を受けてイエス様に従うようになります。
そのうちのひとりはアンデレ、もうひとりの名前は記されていません。
古くから教会は
この後者の弟子が福音書を記したとする見方をしてきました。
これは確かではありませんが、まったくありえないとも言い切れません。
アンデレの勧めによって、
彼の兄弟シモンもまたイエス様の弟子に加わりました。
このシモンをイエス様はケファ
(ギリシア語では「ペトロス」といい、
日本語に訳すと「岩」という意味です)
と名づけられました。
他の三つの福音書では、
イエス様がペテロに新しい名前をお与えになったのは
ペテロがイエス様に対して信仰告白をした時でした
(「マタイによる福音書」1616節)。

イエス様はヨルダン川の峡谷を後にして、ガリラヤへと向かわれました。
この旅に同行していたフィリポはナタナエルに、
キリストを見つけた、と語りました。
ナタナエルは疑います。
しかし彼は、イエス様が
彼の全人生を不思議なやり方ですっかり見通しておられることに
気がつきます。
ここで私たちははじめて、
奇跡信仰と真の信仰との間の緊張関係に出会います。
ナタナエルは奇跡を見たため、イエス様に従うようになりました。
このような機会が彼に与えられるのはもちろんかまわないのですが、
奇跡に頼る信仰はまだ表面的なものにすぎません。
真の正しい信仰告白は、
たとえばマルタの口から聴くことができます。
これはイエス様が彼女の兄弟ラザロを
死からよみがえらせる奇跡の前に(ここに注目!)
なされた信仰告白なのです。
「はい、主よ、
あなたが世に来られるはずのメシア、神様の御子であられることを、
私は信じています[1]」(「ヨハネによる福音書」1127節)。
このマルタの信仰告白や「ヨハネによる福音書」1章の前半、
また「ロゴス賛歌」や洗礼者ヨハネの証の中に
反響しているような信仰を、
イエス様の弟子たちはまだもってはいませんでした。
それでも彼らは、
イエス様に従っていくことや、
イエス様の弟子として学びを続けていくことを
許されたのでした。


[1] 完了形。