2014年2月5日水曜日

「ヨハネによる福音書」ガイドブック 21章20~25節 最愛の弟子


最愛の弟子 212025


ペテロとイエス様の傍らには、「最愛の弟子」が一緒にいました。
ペテロはこの弟子が将来どうなるかについて
イエス様につい尋ねてしまいます。
しかし、彼が得た返答は、「私に従いなさい」、というものでした。
このことに関して、ペテロは、
前節のシーンでイエス様とペテロ以外の人々がそうであったように、
まったく部外者の立場にありました。
ある人の人生についてのイエス様の御計画は、
他の人々にとっては何の関わりもないことだからです。
あなたは将来殉教することになるだろう、という仄めかしは、
公けにではなくペテロだけに与えられたものでした。
「最愛の弟子」の将来に何が待っているのか、ペテロには謎のままでした。
イエス様は、公けに伝道なさっていた時期に、
教えつづけ、何千人もの人々に強烈な印象を与え、
偉大な奇跡をたくさん行われました。
一日の出来事を正確に描写するためだけでも、
「ヨハネによる福音書」全体が記されたものよりも
多くのパピルス紙が必要とされたことでしょう。
福音書の末尾の文章は、
資料に対するこの福音書の特徴をよくあらわしています。
つまり、一冊の書物の中にすべては盛り込めないし、
また、すべてを語る必要もない、ということです。
実際に福音書に記されたものは、
幾つかの奇跡と教えなど、資料全体の一部に過ぎませんでした。
しかし、「ヨハネによる福音書」は、
それらを精確かつ詳細に取り扱ったのです。
このように、第四福音書は、
イエス様の最愛の弟子が保存した伝承を受け継ぎつつ、
一番大切なことについて特に力を込めて明瞭に語っています。
すなわち、
キリストは神様の御子であり、
目の見えない者の光、死者たちの命である、
ということです。
「この方の充溢の中から、私たちは皆、
恵みに恵みを加えていただいたのです」
(「ヨハネによる福音書」116節)。


「ヨハネによる福音書」ガイドブックはこれでおわりです。
今までおつきあいくださり、感謝します。

著者 Erkki Koskenniemi(フィンランドルーテル福音協会牧師、神学博士)

日本語版翻訳編集 高木賢(フィンランドルーテル福音協会、神学修士)