裏切り者の冷や汗 13章21~30節(その2)
ユダは、
神様がキリストを通してくださった光を見ることができた
弟子たちの群れから離れて、外に出て行きます。
「ヨハネによる福音書」がこのシーンを、
「夜でした」、という言葉で結んでいるのは、
たんなる偶然ではありません。
ユダが最終的に道を踏み外すシーンには、
「イエス様が愛しておられた弟子」と呼ばれる謎めいた人物が登場します。
イエス様が納められていたはずの空の墓に向かって走るときもそうでしたが
(20章1~10節)、いつでも彼はペテロより少しばかり先を行っています。
この過越しの食事でも、
彼はイエス様のすぐ隣りという光栄な席を占めています。
イエス様が十字架にかかられたとき、
彼にはイエス様のそばに来てその死を証する勇気がありました。
また、死の直前にイエス様は
御自分の母親の世話を彼にゆだねておられます(21章7節)。
彼はいったい誰なのでしょうか。
この人物を特定するのは、そう難しいことではありません。
最後の晩餐の時に臨席していたのは、十二弟子だけでした。
彼らのうち、漁をしていて、
復活したイエス様と出会う場に居合わせた弟子たちは、
7人だけでした(21章)。
もちろん、その中からペテロは除外できます。
1章35~40節で、
ヨハネの二人の弟子のうちの一人の名が記されていないことは、
注目に値します(もう一人は、ペテロの兄弟のアンデレでした)。
このことと、教会に古くから伝えられてきた伝承とによれば、
イエス様から愛された弟子とは、
ゼベダイの子、ヨハネであったと推定されます。