2011年5月25日水曜日

「コリントの信徒への第一の手紙」15章1~11節 

   
復活に関する最古の信仰告白 15章1~11節
   
パウロはまず、1~3a節で、これがどれほど重大な問題か、はっきり示しています。
復活は福音の核心にかかわることがらなのです。
この福音をパウロは自分で捏造したわけではありません。
彼はそれを他の人々から伝承として受け取り、そして、その同じ伝承をコリントの教会に伝えました。
ですから、コリントの信徒たちもその伝承を変更することなく、しっかり守っていくべきなのです。
3~7節で、パウロはとても古い信仰告白を引用しています。
その核心にあるのが、「書かれてあるとおりに」、すなわち、旧約聖書が予言したとおりに、キリストは私たちの罪のために死んでくださった、ということです。
書かれてあるとおりに、この方は墓に葬られましたが、三日目に死人のうちよりよみがえられました。
  
この後でパウロは、死なれた後でイエス様が誰に対して御自分をあらわされたか、について語っています。
イエス様の復活の証言者たちを記したこのリストは、現在知られている最古のものであり、福音書の記述よりもさらに何十年も前に遡るものと推定されています。
もっとも、ここでパウロがカリスマ的な経験やそれらに付随する「しるし」について語っているとは思えません。
この証言者のリストは明確に限定されています。
むしろパウロは、「しるし」はもはやあらわれなくなった、と考えています。
彼自身は「月足らずで生まれた者として」証言者のリストに入ることができたのでした。
  
証言者のリストは(全証言者をもれなく含む)完全なものではありません。
少なくともリストからは、福音書が記している女たちのことが欠けています。
これは、当時の時代背景を考えるときに合点がゆくことではあります。
ここでは「使徒たちの証言のもつ権威」に依拠しようとしたわけです。
それに対し私たちにとっては、福音書の記している女たちによる証言も重要です。
イエス様が、ヤコブのことや、とりわけ同時に五百人の弟子たちにあらわれたことについて、もっと知りたいと私たちは願います。
しかし残念ながら、私たちが知っているのは「このようなことが起こった」ということだけです。
 
古くからあるこの信仰告白の短く的を得た文章は、キリストの地上でのみわざが成就したことを語っています。
キリストは苦しまれ、死なれ、墓に葬られました。
そして、死者の中から復活なさいました。
キリストの復活は、「こうだったらよいな」というような儚い希望などではありません。
使徒たちは復活された主を目の当たりにしました。
教会の信仰もまた、淡い望みなどではなく、堅い基底の上に据えられています。
「キリストは活きておられる」という使徒たちの堅固な証言が、私たちにはあるからです。