2014年1月22日水曜日

「ヨハネによる福音書」ガイドブック 20章24~29節 トマスの信仰


トマスの信仰 202429


イエス様の弟子の一人だったトマスというと、
一般に「疑い深い」というイメージがあります。
しかし、こうした先入観は、
聖書がいかに誤読されやすいかをよく物語っています。
この箇所が語っているのは、
「疑い深いトマス」についてではなく、
「疑った後で信じたトマス」についてです。
「ヨハネによる福音書」では、
以前にもトマスは以にも
イエス様の意味を理解できない存在として描かれています
1116節、145節)。
ここでの彼は、はじめは、キリストの復活を否定します。
しかし、復活の主を目にして、心から確信し、
信仰告白の言葉がその口から響き渡ります。
その告白は、
すべての福音書を通じても最高といってよいほど素晴らしいものです。
2千年にもわたるキリスト教の歴史と伝統を知っている
現代の私たちにとって、
トマスのことの信仰告白がどれほど衝撃的なものであったか、
想像するのは困難です。
にもかかわらず、疑いようもなく、
これは福音の最高の瞬間のひとつなのです。
「ヨハネによる福音書」は、
当初はこの箇所の数節後で閉じられていた、と推測されています。
それによれば、
福音書の始まりの「ロゴス賛歌」と、この最後の箇所とは、
見事に結びつくことになるわけです。
「神様を見た者はいまだかつてひとりもいません。
神御自身であり、いつも天の御父に抱かれている独り子なる神様が
私たちに神様のことを説明してくださったのです」(118節)。
「私の主、私の神様!」(2028節)。