2014年1月29日水曜日

「ヨハネによる福音書」ガイドブック 21章1~14節 漁をする使徒たち


漁をする使徒たち 21114


この箇所がどの時期に位置するものか、
はっきりと特定するのは難しいですが、
未だ弟子たちがイエス様の復活について確信がもてないまま
混迷の中にいた時期であった、と推定するのが最も自然に思えます。
このように考えると、
弟子たちが漁に出るというのは、
以前にイエス様から受けた使命を否定することを意味しています。
「イエス様は墓にいるので、
もはやイエス様につき従うことはできなくなった」、
と考えた弟子たちは、
使徒の職務の代わりになる新しい職業を探したのでしょう。
そして、もちろんまず初めに頭に浮かんだのが
元の職業、漁師でした。
この箇所における、
まるで物語の中の出来事のような大漁や、
岸でのイエス様と共に過ごした夢うつつのひと時は、
弟子たちがイエス様の弟子としての自覚を取り戻す、
大切な意味をもっていました。
153匹という魚の数にはおそらく何らかの象徴的な意味があり、
キリストのみわざがあらゆる国民に関わるものであることを
指しているものと推測されます。
たとえば、1から17までを足すと153になります。
そして、107とはユダヤ人にとって完全数です。
先ほどまで揺れ動いていた弟子たちの気持ちは、
この出来事をきっかけとして整理され、
彼らは再び「人間をとる漁師」に戻ったのでした。