2013年3月22日金曜日

「ヨハネによる福音書」ガイドブック 8章31~59節 アブラハムの子孫か、悪魔の子孫か?(その2)


  
アブラハムの子孫か、悪魔の子孫か? 83159節(その2)
 
 
「ヨハネによる福音書」が書かれた時代にも、
こうした言葉には現実の重みがありました。
当時もキリスト信仰者は、
神様の民がイエス様を拒む
という状況の中で生活していたからです。
その時にも神様の民は、
自分たちがアブラハムの子孫であることを
持ち出したのはまちがいありません。
人が神様の民の一員であることには、
どのような益があったのでしょうか。
今ここで扱っている箇所は、この質問に明確に答えてくれます。
もしも人がキリストを拒むなら、
その人が選ばれた民の一員であることには、
何の益もないのです。


 
「ヨハネによる福音書」が伝える証は、
パウロの証と一致しています。
パウロは「イザヤ書」を引用しつつ、こう書きます、
「たとえイスラエルの民の数が海の砂粒ほど多いとしても、
彼らの中から救われるのは、ごく一部の生き残りです」
(「ローマの信徒への手紙」927節)。

  
話し合いの始めの部分では、
イエス様は御自分を信じるユダヤ人たちに話しかけ、
御自分が本当はどのようなお方か、教えました。
ところが、
ユダヤ人たちはこの教えを否定し、
イエス様を殺そうとしました。
そして、彼らは、
イエス様を信じることにも殺すことにも失敗しました。
(受け入れるにしろ、否定するにしろ)
イエス様を「しっかりとらえること」は、
彼らにとって容易ではなかったのです。