2013年3月20日水曜日

「ヨハネによる福音書」ガイドブック  8章31~59節 アブラハムの子孫か、悪魔の子孫か?(その1)


  
アブラハムの子孫か、悪魔の子孫か? 83159節(その1)
  
 
イエス様がこの世に来られた後、
イスラエルの民の立場がどのようなものになったか
を考える時に、
これから取り上げる箇所は決定的な意味を持っています。
イエス様はユダヤ人たちに話されます。
「ユダヤ人」という言葉は、「ヨハネによる福音書」では、
「イエス様を拒んだユダヤ人」のことを
指していることがしばしばあります。
しかしここでは、イエス様は
御自分のことを信じるユダヤ人たちに対して
語りかけておられます。
ここでの話し合いは、一切をまったく新しい光のもとに照らし出します。
  
「信仰」という言葉は、「ヨハネによる福音書」では、
さまざまな意味で用いられています。
ここでのユダヤ人たちの信仰は、とても表面的なものでした。
彼らは、
イエス様が神様の御子である、と告白しなかったし、
世の罪を取り除くお方、暗闇の中で生きている人々の唯一の光である
とも信じてはいませんでした。
ほどなくして、話し合いは大きな意見の相違を生み出しました。
自分たちがアブラハムの子孫であることに依拠して、
ユダヤ人たちはイエス様を拒絶しました。
神様がアブラハムにお与えになった約束の一切は自分たちだけのものだ、
と彼らは考えていたのです。
   
イエス様はこの主張をきっぱりと否定なさり、
「私に反対する者は、アブラハムの子孫ではなく、悪魔の子孫である」、
と断言されました。
アブラハムは、キリストがこの世にあらわれることを前もって目にし、
それを喜びました。
それに対して、
ユダヤ人たちはキリストを拒み、殺そうとしました。
キリストを拒み、
キリストが御父の御許から来られたことを信じないユダヤ人たちは、
アブラハムとは実際は何の関係もないのです。