2009年10月22日木曜日

マルコによる福音書について 15章16~20節

栄光の王様の下降 15章16~20節

ローマ帝国は兵隊をローマやイタリアからの人員だけではまかなうことができず、属州側の協力を必要としました。ローマは徴兵のさいに昔の争いと隣国間の不和を上手に利用しました。ユダヤ人を押さえつけていた軍団は主にシリアから雇われた兵士から構成されていました。これは、ユダヤの民と彼らを圧迫する兵隊とがいつか同調してしまう恐れをなくすためでした。今このような兵隊がユダヤ人の王を手中にしたのですから、敵意のこもった享楽がはじまったのはあたりまえでした。紫色の衣、茨の冠、葦の王笏、肉体暴力、道化芝居。これ以上の低みに神様の御子なる栄光の王様が下ることはもうありえないほどでした。マルコによる福音書の読者はここで、あらゆる軽蔑と恥辱の対象になりながらも神様に忠実を尽くしたイザヤ書の「苦難の僕」を思い起こすことでしょう(イザヤ書50章4~9節)。