ピラトの尋問 18章28~38a節(その2)
ユダヤ人たちの取った作戦は単純で、
当時の歴史的状況から見ても理解できるものです。
ローマ人たちは、
安息日を破ったからという理由で、
人を死刑にする気はまったくありませんでした。
イエス様を目の前から取り除くためには、
「この男はユダヤ人の王になろうとした」、
という罪状によらなければなりません。
(ヘロデ王の)宮殿の庭には、
互いに心底から侮蔑し合っている
二つのグループが立っていました。
ユダヤ人たちはピラトを必要としていましたが、
宮殿の中には入ろうとはしませんでした。
「異邦人の家は汚れている」、というのが、
一般的なユダヤ人の教えだったからです。
異邦人の家の中には、
ユダヤ人を汚すもの(特に偶像の絵など)があっても
おかしくはなかったからです。
ユダヤ人は、そうしたもので汚れると、
ユダヤは再び清くなるまでに、
七日間も隔離される場合もありました。
過越の祭を目前に控えて、
誰もあえてこのようなリスクをとりたくなかったのは
当然だったと言えます。
自分を清く保つことに神経を尖らせていた
「神の民」の代表者たちは、
神様の御子を死刑に処するために、
ピラトを宮殿の外で待ち続けました。
なんともひどい構図です。