淫婦の幻についての天使の説明 17章7~18節(その1)
幻についての説明が与えられているという点で、
淫婦についての描写は「ヨハネの黙示録」での独特な幻となっています。
実のところ、この説明も幻であり、
それを理解するためにはさらに説明を加えなければなりません。
幻の中にあらわれた獣は
「昔はいたが、今はおらず、やがて深淵から上ってくる」、
とヨハネは言います。
何度となくこうしたことは繰り返されてきました。
「ヨハネの黙示録」に描かれている獣のように活動した
国家、思想、あるいは支配者は倒れました。
そして、その度に、
「今はもう大丈夫だ」と思われました。
ところが、獣が倒れてからまだそれほど日もたたぬうちに、
おそらく前とはちがう装いで、
しかし同じ目標をもって、
獣は再び頭をもたげ、戦いを始めました。
何度となく悪魔はキリストの教会を滅ぼそうとしてきました。
この目的のために悪魔は、
何度倒されてもまた起き上がってくる獣を使います。
13章の説明で言ったように、
「ヨハネの黙示録」において獣は、
特に反キリストをあらわしています。
おそらく天使たちのメッセージは、
かつて活動した獣と反キリストが非常によく似ていることを、
伝えているのでしょう。
9~12節に書いてあることは、聖書釈義者たちの興味を惹きました。
ここで「ヨハネの黙示録」が語っている内容に対応する
支配者の一群を捜し求めて、発見したと自負する人は大勢います。
例えば、八人の王は、
八人のローマ皇帝か、あるいは、八人の不義の法王を指している、
と考える人々がいました。
これらの解決案は、
天使の説明と完全には合致しないという点で問題を抱えています。
「ヨハネの黙示録」が、
かつていたか、あるいはこれからあらわれるであろう
「八人の支配者」のことを描いている、という考えを
私たちは完全に否定するものではありません。
私自身は、
ここでも象徴的なことが語られている、という説明のほうが
より真実に近いと思っています。
「七人の王」や「獣」や「十人の王」は、
「新しい支配者、新しい思想、また新しい国家が次々に登場し、
悪魔に仕えて、獣の目印を満たす」、という意味でしょう。
第八の、すなわち最後の王は、特に「獣」と名づけられています。
おそらくこれもまた反キリストを指しています。
この王は、最悪の形で獣の目印を満たし、
多くの支配者を味方につけ、
イエス様の再臨の前にあらわれる最後の獣です。