2012年4月25日水曜日

「ヨハネの黙示録」ガイドブック 13章1~10節 獣(その1)


 
ヨハネの黙示録13
  
獣 13110節(その1)
   
  
ヨハネは海から上がってくる獣を見ます。
海は、聖書の少なくとも数箇所では、死や悪の象徴となっています
(例えば、「ヨハネの黙示録」211節)。
その意味では、獣が上ってくる場所自体がすでに、
その獣が誰の僕か、について語っています。
獣は恐ろしい姿をしています。
それには角や頭がたくさんついています。
これは獣のもつ力と権力と知力をあらわしています。
前章に出てきた竜が権力を獣に譲るのを、ヨハネは目にします。
それから、ヨハネは獣が神様と天の者たちを侮辱するのを聞きます。
さらにヨハネには、獣が「聖徒たち」、
すなわち地上で生活している神様に属する人々に対して
戦いを仕掛けてくる様が示されます。
誰の手先として獣が働いているか、疑いの余地はありません。
獣は悪魔のわざの手段なのです。
  
獣とは何か、あるいは何者か、
聖書の釈義者たちは考えあぐねてきました。
「獣はクリスチャンを迫害したローマ帝国をあらわしている」、
という説があります。
また、
「獣は悪魔の手下として働いている支配者を意味している」、
という意見もあります。
獣の候補として、
ネロ帝、ナポレオン、ヒトラー、スターリン、
その他大勢の人々の名が挙げられてきました。
ここで描かれている獣について、
私(このガイドブックの著者ヤリ・ランキネン)は
それらとはやや異なる解釈をしています。
聖書の予言のうちの少なくとも幾つかは、
何度も実現するもののように見えます。
獣の幻もまたこのようなものではないか、と思われます。
おそらく獣は、
ヨハネが幻で描き出しているようなやり方で悪魔に仕えている
「あらゆる権力や力」をあらわしているのではないでしょうか。
古代のローマ帝国には、
ここで獣について語られていることがらがよく当てはまります。
それと同じことは、ヒトラーのドイツやスターリンのソ連にも言えます。
要するに獣は、
ある特定の国や思想や支配者を指しているとは限らないのです。
歴史の流れの中で、多くの国やイデオロギーや支配者が
キリストの教会に対して戦いを挑みました。
それらは活きておられる神様を侮辱し、悪魔に仕え、
こうして獣の特徴を満たしました。
それゆえ、それらは「ヨハネの黙示録」の獣であった、と言えるわけです。