2008年12月31日水曜日

マルコによる福音書について 6章45~56節

湖の上を歩かれるイエス様 6章45~52節

群集に食事を与えた奇跡の後、イエス様は一時的に弟子たちから離れました。夜明け頃、舟にいた弟子たちはイエス様が彼らのところに歩いてこられるのを目にしました。恐れ切った弟子たちはわめきはじめました。イエス様は弟子たちを落ち着かせ、船に乗り込まれました。この出来事も、たんに奇跡のゆえに福音書に記されているわけではないのです。イエス様の奇跡はいつも御自身にゆだねられている権威についての「しるし」です。しかも、イエス様の多くの奇跡は旧約聖書のさまざまな奇跡の「現代版」だったのです。この箇所でもまた私たちは、今の奇跡の中に対応する旧約の時代の奇跡を思い起こすことができます。イスラエルの民は皆、葦の海の底を通って渡りました(出エジプト記14章)。この民は後にヨシュアの指導の下、ヨルダン川を渡りました(ヨシュア記3章)。エリヤとエリシャは自分の外套でヨルダン川を打つと、そこから水が左右に分かれました(列王記下2章8、14節)。同じような奇跡がイエス様を通してさらに大規模な形で繰り返されるのを読むとき、旧約聖書について知識のある読者は、「神様がふたたび御民の只中で目に見えるような形で活動されている」ことを理解することでしょう。ここでもうひとつ注目すべきことは、弟子たちの鈍くなった心です。一般の人々、さらにはイエス様のすぐそばにいた弟子たちの不信仰と神様をないがしろにする態度は、マルコによる福音書を貫いているとても重要なテーマです。


病人の癒し 6章53~56節

ゲネサレでは今まで何度も繰り返されてきたのと同じことが起きました。イエス様はたくさんの民を集めて、彼らに教え、また彼らを癒されたのでした。こうして神様の御国はますます拡大していきました。群集も増えていく一方でした。ガリラヤ全体にイエス様の活動は影響を及ぼすようになったのです。群集の規模が大きくなるにつれて、イエス様の活動に反対する人たちも多くなっていきました。次回ではイエス様と律法学者やファリサイ人たちとの間の激しい議論がもちあがります。