2008年12月1日月曜日

マルコによる福音書について 4章35節~5章43節

奇跡

マルコによる福音書4章35節~5章43節


再び、イエス様の権威について 4章35~41節

いろいろなたとえを話された後で、イエス様は弟子たちを舟に連れて行き、彼らと共に向こう岸に向かわれました。嵐になり、一行はおぼれそうになりました。すさまじい嵐の中でイエス様は眠っておられました。しまいにはおびえきった弟子たちが眠っているイエス様をゆり起こしました。主は起き上がって風と荒れ狂う海とを叱りました。すると嵐は鎮まりました。イエス様は弟子たちを叱りました。たぶん彼らは今や嵐の時以上に恐れをなしていたことでしょう。自然界の力さえも従わせることができるこの先生は、いったいどのような権威の後ろ盾によって活動なさっているのでしょうか?自然界に命じてそれを従わせることができるのは、すべてを創り保たれるお方しかいないはずです!


レギオンを処罰する 5章1~20節 

イエス様は湖の反対側、ゲラサという町に来ました。この地名がここで登場するのは謎めいています。というのは、ゲラサはゲネサレ湖畔から約60キロメートル離れたデカポリスという地域に位置していたからです。ここで町の名前が挙げられているのは、ゲラサがデカポリス最大の町であり、また福音書が異邦人の土地については大雑把な地理で十分だとみなしていたからではないでしょうか?この箇所でイエス様を出迎えたのはデーモン(悪霊)によって苦しめられていた男でした。デーモンはレギオンと名乗りました。ローマ帝国のレギオンは約6千名の男たちによって構成された軍隊の単位です。イエス様はデーモンの群れをその男から追い出して、近くにいた豚の群れに入ることを許されました。約2千頭の群れは崖の下めがけてなだれこみ、失われました。男はデーモンから解放され、正気に戻り、ちゃんと服を着てイエス様に従い、その場に座っていました。その男を以前から知っていたその地方の人々は皆驚きました。彼らはイエス様が立ち去ってくれるように頼みました。デーモンから解放された男は、自分の町でこの奇跡について周りの人に語るという使命を受けました。

この出来事を福音書でさらっと読むとき、同時によくわからない点が出てきます。そもそもなぜマルコによる福音書にこの出来事が取り上げられているのでしょうか?たぶん2千頭の豚の群れが湖になだれこむ光景がそのひとつの理由でしょう。もうひとつの理由として、モーセの律法によれば、豚は汚れた動物であり、ユダヤ人たちにはそれを食べることが許されていなかったことが考えられます(レビ記11章7節)。しかし、この出来事でも中心的なテーマはイエス様の偉大な力です。目に見える形で悪霊たちを人から追い出すことができるこの方はふつうの人間ではないし、それを自分の権威に基づいて行ったはずもありません。