2009年9月14日月曜日

マルコによる福音書について 14章3~9節

女の高価な贈り物 14章3~9節

イエス様はエルサレムの外、ベタニアで寝泊りされていました。マルコによる福音書は、イエス様がらい病人シモンの家に住んでおられたと、伝えています。この場所で、やや謎めいた驚くべき出来事が起こりました。古代世界ではかぐわしい香りを放つ香油が重宝がられていました。名前も記されていないある女が高価な香油の入った壺を取り出して壊し、香油をイエス様の頭に注ぎかけたのです。それは労働者の一年分の給料に当たる価値を持つ良質の香油でした。こうした香油は大きなお祝いや重要な人物のために用いられました。おそらくその女にはこうした慣習が頭にあったのでしょう。そしてまたこの行為は、「イエス様は神様が約束してくださったキリストであり、油注がれた王様です」という信仰告白でもあったでしょう。イエス様は香油を用いるもうひとつの目的を示されました。当時、死者に対して葬られる前に油を塗る習慣がありました。香油を「無駄にした」ことを残念がった弟子たちは、イエス様から叱られました。「香油を塗る」という女の行為は、イエス様への彼女の愛のあらわれでした。愛は計算したり財布を覗いたりはしないものです。愛は自分の持っているものを差し出します。そして、まさにそこに愛の偉大さがあるのです。このように短い出来事が一人の人間のイエス様への大いなる愛を証するドキュメントになっています。よい行いは黒い額縁にはめられてみると、いっそうひきたつものです。この出来事の前の箇所は、神様の民の指導者たちのイエス殺害計画について語っています。そしてこの香油の塗布の後に続いて、主を裏切ろうとするユダの様子が描かれています。