2021年3月3日水曜日

「ヨナ書」ガイドブック 預言者の召命を受けるヨナ 1章1〜3節(その2)

 預言者の召命を受けるヨナ 1章1〜3節(その2)

「列王記下」14章25節には

「アミッタイの子、ヨナ」についての記述があります。

ヨナはガリラヤのナザレから北東5kmほどに位置する

ガト・ヘフェル(口語訳ではガテヘペル)出身です。

この近くにはメシェドという名の村があり、

ユダヤの伝承によればヨナはこの地に葬られたとされています。

ヨナはイスラエル王ヤラベアム二世の治世に活動しました。

彼の同時代の預言者には、

イスラエル王国ではホセアやアモス、ユダ王国ではイザヤやミカがいました。

 

「ユダの王ヨアシの子アマジヤの第十五年に、

イスラエルの王ヨアシの子ヤラべアムが

サマリヤで王となって四十一年の間、世を治めた。

彼は主の目の前に悪を行い、

イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムの罪を離れなかった。

彼はハマテの入口からアラバの海まで、イスラエルの領域を回復した。

イスラエルの神、主がガテヘペルのアミッタイの子である、

そのしもべ預言者ヨナによって言われた言葉のとおりである。

主はイスラエルの悩みの非常に激しいのを見られた。

そこにはつながれた者も、自由な者もいなくなり、

またイスラエルを助ける者もいなかった。

しかし主はイスラエルの名を天が下から消し去ろうとは言われなかった。

そして彼らをヨアシの子ヤラベアムの手によって救われた。」

(「列王記下」14章23〜27節、口語訳)

 

ヨナはニネヴェに行きたくありませんでした。

それで、東方のニネヴェとは逆の方角に位置する西方のヨッパに向けて出発しました。

 

なぜヨナはニネヴェに行きたくなかったのでしょうか。

「ヨナ書」4章2節でヨナは、

イスラエルの敵でもあった異邦人たちに悔い改めの宣教を伝えたくなかった、

とその理由を正直に打ち明けています。

 

「(ヨナは)主に祈って言った、

「主よ、わたしがなお国におりました時、この事を申したではありませんか。

それでこそわたしは、急いでタルシシにのがれようとしたのです。

なぜなら、わたしは

あなたが恵み深い神、あわれみあり、

怒ることおそく、いつくしみ豊かで、災を思いかえされることを、

知っていたからです。」

(「ヨナ書」4章2節、口語訳)

 

ヨナが逃げようとしたもうひとつの理由は「恐れ」でしょう。

「神様の厳しい裁きを宣告する外国人がいったいどのようなひどい目にあうか、

わかったものではない」という恐怖心がヨナにあったのではないでしょうか。

アッシリア人は残酷なことで悪名高い民族だったからです。

 

ヨッパは現在のヤッファあたりに位置する自然の良港でした。

タルシシは現在のスペイン南部、大西洋に面する地域にあったという説もあります。

ともあれ、ヨナは

できるかぎりニネヴェから離れたはるか西方の地へと逃げて行こうとしたのです。