2018年11月23日金曜日

「ペテロの第一の手紙」ガイドブック 祭司制と牧師職

 祭司制と牧師職

現代では「祭司制」と「牧師職」をめぐる論議は
すっかり混乱してしまっています。
神様の御言葉によれば、
教会にはキリスト信仰者全員による万人祭司制(1)と、
それとは別に存在する牧師職(2)という
ふたつの異なる役割が存在していることを、
私たちは今ふたたび学びなおす必要があります。

1)「万人祭司制」とは、洗礼を受けた人は祭司となる、という意味です。

神様の御国においては、
キリスト信仰者ひとりひとりに対してそれぞれ大切な使命が与えられています。
それを探し求めつつ、御言葉に対して従順にそれを実行していくことは、
キリスト信仰者に与えられた課題でもあります。

たとえば、あなたは子をもつ母親かもしれませんし、
あるいは自分の姉妹にとってただひとりの弟であるかもしれません。
また、あなたは職場で自分がキリスト信仰者であることを明言している
唯一の人間かもしれません。
あなたには歌の才能が与えられているかもしれません。
また、あなたの使命はキリスト教の良質な新聞や雑誌を
できるだけ多くの人に販売することかもしれません。

このように、神様の御国においてやるべき仕事は
御国の住人全員に対して十分にあるのです!

2)「牧師職」は、ルーテル教会信条集によれば、
神様が自ら設定なさった職種です。
この職については、たとえば
「ペテロの第一の手紙」の第5章や
「使徒言行録」の第20章で取り上げられています。

「牧師」(「エフェソの信徒への手紙」4章11節)、
「長老」(「ペテロの第一の手紙」5章1節)、
「監督者」(「使徒言行録」20章28節)など、
新約聖書で牧師を表す用語はいろいろありますが、
それらは内容的には同じものです。

神様はある特定の人を
その人が所属している教会の責任を担わせるために召命なさる、
ということです。

この牧師職は神様からの恵みの賜物です
(「ローマの信徒への手紙」12章7節)。
そして、この職を委ねられた者は、
とりわけ神様に対する忠実さを要求されます。

残念なことに、現代の私たちのルーテル教会においては
「万人祭司制」(キリスト信仰者全員に与えられた共通の責務)も
「牧師職」(特定のキリスト信仰者に委ねられた職業的責務)も
一様に軽視される傾向がみられます。
この点においても、私たちは各自悔い改める必要があります。