2016年5月4日水曜日

「ローマの信徒への手紙」ガイドブック 13章1〜7節 軍隊や警察など国家安全に関わる職務については?

軍隊や警察など国家安全に関わる職務については? 1317

キリスト信仰者は
軍隊に入って戦争に参加することが許されているのでしょうか。
教会が軍隊に祝福を与えその働きを支えることは
神様の御旨に反しているのではないか、
という疑問が当然ながら出てきます。

たとえば、フィンランドでは男性の若者には、
しばらく兵役につくか、あるいは他の場所で働くという
義務が課されています。
しかし、
「殺してはならない」という神様の戒め(モーセの第五戒)を
すべての状況で遵守するために、
兵役の代わりに他の場所で一年間働くことを選ぶ
キリスト信仰者の若者も多くいます。


このことに関連する聖書の箇所はルター派の教会にとって非常に重要です。
公的権力には「剣を持つ」権利があることを、
私たちキリスト信仰者は神様が制定なさったことであると受け止めています。
ですから、この聖書の箇所によれば、
キリスト信仰者が警察官や軍人になろうとするのは
よくないことではありません。
なぜなら、それは公的権力と神様の僕として働くことだからです。

キリスト信仰者が個人的に人を逮捕したり、
警棒で殴りつけたり、武器で脅したりするのは許されないことです。

それとは対照的に、
国家の安全に関わる職務に就いているキリスト信仰者には、
公的権力の代行者として前述のことを行う権利が委ねられています。

このことによって神様が望んでおられることは、
地獄のような状況が地上に現出してしまわないようにすることです。
それゆえ、
青年男子がフィンランドで兵役の義務に就くのはまったく正しい行いなのです。

人は皆自己の良心に従うのが基本的にはよいことなのですが、
その際に、
その良心を神様の御言葉にしっかり結びつけることが大切になります。
自己の良心が聖書に反したことを考えたり行ったりするように勧める場合には、
その良心のあり方自体を再検討する必要があるでしょう。

確かに言えることは、
キリスト信仰者は自ら戦争を求めることがあってはならず、
常に平和を祈るべきである、ということです。