この世を支配する公的権力の意味 13章1〜7節(その2)
この聖書の箇所はルターにとって非常に重要なものでした。
よく知られているように、
この世における公的権力は神様が定められたものであることを、
彼は大いに強調しました。
パウロと同様にルターは、
この世を支配する公的権力が欠如した場合にいったい何が起きるか、
はっきりと見切っていました。
そのような事態になれば、
誰一人、自分自身や自分の家族の身の安全を確保できない
完全な無秩序状態になることでしょう。
これは新聞などで世界情勢について読む時に気がつくことです。
大都会で大規模な停電が起きた場合には、
無秩序化した大群衆が略奪の限りを尽くし、
建物に火を放ち、警察の働きを妨害します。
それはさながら地獄が突然この世に現出したかのようです。
国家権力が夜間の道路の安全を確保できないところでは、
強盗が横行します。
革命などで社会全体が極度の混乱に陥っている時には、
支配権力機構は状況を沈静化する術を失います。
このようなケースが
歴史を通じて世界各地で実際に起こってきたことを考える時、
整った社会秩序と安定した国家権力機構が
どれほど大切な神様からの賜物であるか、よくわかります。
これらは神様からこの世への最大級の賜物のひとつなのです。
ただし、その存在のありがたみがわかるようになるのは、
実際にそれが消えてしまった時になってからです。