2009年12月16日水曜日

「エフェソの信徒への手紙」について 1章1~2節


1章1~2節 挨拶

「エフェソの信徒への手紙」のはじめの言葉は、パウロの挨拶の通常のパターンを踏襲しています。古典世界の習慣に従い、手紙の著者の名前が手紙の最初に記され、それから、手紙の受け取り手が記されます。そして、その後に短い挨拶がつづきます。
最も古い写本群には、それよりも新しい写本群とは異なり、テキストに「エフェソにいる」という言葉がありません。前に述べたように、エフェソの信徒たちはこの手紙の唯一の受け取り手ではなかったのです。おそらく、この手紙は教会の間で回覧されるために書かれた手紙であり、手紙の受け取り手を記すべきところに空欄があったのではないでしょうか。
いつものようにパウロは自分のことを「使徒」、すなわち「派遣された者」と呼んでいます。ふたつの短い節でイエス様の御名が3回登場します。このように、パウロは自分勝手にこの手紙を書いているのではないことを強調しているのです。