2026年5月8日金曜日

「テモテへの第二の手紙」ガイドブック 「テモテへの第二の手紙」4章9〜15節 具体的な指示(その2)

 具体的な指示(その2)

「テモテへの第二の手紙」4章9〜15節

 

パウロは第二次宣教旅行にマルコが同行することに反対しました。

というのもマルコは第一次宣教旅行の途中で

パウロ一行から離脱してしまったからです(「使徒言行録」15章38節)。

マルコを同行させるかどうかで意見が対立したために

パウロとバルナバは以後別行動をとるようになります。

しかしパウロとマルコの関係は

この手紙の書かれた時点では修復されていたようです。

マルコは

「コロサイの信徒への手紙」4章10節(「バルナバのいとこマルコ」)と

「フィレモンへの手紙」24節でその名前が挙げられています。

一度は壊れた関係を神様が修復してくださったおかげで、

パウロとマルコはふたたび福音伝道の同僚になれました。

 

テキコはしばしばパウロの手紙の配達人の役目を引き受けていました

(「エフェソの信徒への手紙」6章21〜22節

(「主にあって忠実に仕えている愛する兄弟テキコ」)、

「コロサイの信徒への手紙」4章7〜8節、

「テトスへの手紙」3章12節)。


「テモテへの第二の手紙」も

テキコがエフェソに配達したのではないかと推測されています。

おそらくパウロはテキコをエフェソにテモテの「代理」として派遣することで、

テモテがパウロに会いにローマまで訪ねて来るようにしたかったのでしょう。

 

「あなたが来るときに、

トロアスのカルポの所に残しておいた上着を持ってきてほしい。

また書物も、特に、羊皮紙のを持ってきてもらいたい。」

(「テモテへの第二の手紙」4章13節、口語訳)

 

パウロはトロアスで捕まったのではないかという説が

上節に基づいて提案されています。

このように考えると

パウロの上着や高価な書物がトロアスに残されていた理由を説明できるからです。

 

また上節は

「テモテへの第二の手紙」がパウロ自身の書いた手紙である

という証拠でもあります。

この手紙をずっと後にパウロ以外の誰かが書いたものと仮定すると、

パウロの上着についてわざわざ手紙で言及した理由がわからなくなるからです。

 

当時の「書物」は安価なパピルスに記されるのが普通でした。

重要事項のみ高価な羊皮紙に書き記されたのです。

パウロの羊皮紙の書物に書かれていたのは

旧約聖書の一部あるいは全部だったのではないかとも推測されています。

 

「銅細工人のアレキサンデルが、わたしを大いに苦しめた。

主はそのしわざに対して、彼に報いなさるだろう。」

(「テモテへの第二の手紙」4章14節、口語訳)

 

上節の「アレキサンデル」は「テモテへの第一の手紙」1章20節に出てくる

アレキサンデルと同一人物かもしれません。

しかしエフェソでの騒乱の際に発言したユダヤ人アレキサンデル

(「使徒言行録」19章33〜34節)とは違う人物であったと思われます。

 

「主はそのしわざに対して、彼に報いなさるだろう」という言葉は、

この件に関してテモテや教会が

個人的にアレキサンデルに報復する必要はないし、するべきでもなく、

すべてを神様にお委ねするべきであるという意味です

(「サムエル記下」3章39節も参考になります)。

 

「あなたも、彼を警戒しなさい。

彼は、わたしたちの言うことに強く反対したのだから。」

(「テモテへの第二の手紙」4章15説、口語訳)

 

「自分を裏切ってローマ当局に引き渡したアレキサンデルに注意せよ」

とパウロはここでテモテに警告しているという仮説もありますが、

これは推測にすぎません。