2024年2月23日金曜日

「テモテへの第一の手紙」ガイドブック 「テモテへの第一の手紙」2章1〜7節 すべての人は救いへと招かれている(その3)

すべての人は救いへと招かれている(その3)

「テモテへの第一の手紙」2章1〜7節  

パウロはこの箇所で「すべての」という単語を三度用いています

(2章1、4、6節)。

さらに7節の「異邦人」という単語には

「すべての異邦人」という意味合いがあります

(「創世記」12章1〜3節を参照してください)。

 

またしてもキリスト教会にグノーシス主義の異端が入り込み、

「秘密の知識」の重要性を強調し、

ごくわずかな選ばれし者たちのみがこの知識にあずかって

救われることができると主張しました。

同様の対比は

パウロが信仰の真理について述べている箇所にも見ることができます

(2章4、7節)。


しかし本物の真理は神様の真理であって、

グノーシス主義者の言う「秘密の知識」などではありません。

 

この世の良い権力者たちは福音を広めていくために役立つ場合があります。

初期の教会の時代のローマ帝国は平和でした。

この「ローマの平和」(ラテン語でPax Romana)は

広大な帝国の領域で福音宣教を展開していくことを容易にしました。

それに対して

戦争と動乱は福音宣教の妨げとなります。

ですから

キリスト信仰者はこの世の権威のために祈らなければなりません

(2章2節)。

 

戦争と動乱の場合とは異なり、キリスト信仰者への迫害は

信仰者が増え広がっていくことの妨げとなるどころか、

往々にしてむしろ逆のことが起きるきっかけとなりました。


ローマ帝国では皇帝コンスタンティヌスⅠ世が300年代に

キリスト教をローマ帝国の国教と認定するまでに

約一千万人のキリスト信仰者が迫害によって殉教の死を遂げた

と推定されています。


このように歴史を通じて殉教者たちの流した血は

キリスト教信仰が広がっていくきっかけとなってきたのです。


二十世紀での共産主義諸国でのキリスト教迫害においても

同じ奇跡が繰り返されました。