2023年6月14日水曜日

「ハバクク書」ガイドブック 「ハバクク書」3章3〜15節 万物を造り歴史を導かれるお方(その2)

万物を造り歴史を導かれるお方 「ハバクク書」3章3〜15節(その2)  

この「ハバクク書」もそうですが、

異なる聖書の箇所の間にある相互連関について

イスラエルの民ならばすぐ見当がつくような引用や言及が

聖書には多くみられます。

現代ではそれに気がつかない聖書研究者もいるのは残念なことです。

当時のユダヤ社会では男子全員が旧約聖書を勉強しました。

この教育のおかげで、

聖書のある箇所の内容が他の箇所のどのような出来事と関連付けられるのか

について彼らは理解することができたのです。

 

3章3節に出てくる「テマン」(文字通りの意味は「南の土地」)は

イスラエルの地から見て南方のエドムの地域にありました

(「エレミヤ書」49章7節、「オバデヤ書」9節)。

また「パランの山」はエドムとシナイの中間、アカバ湾の近くにありました

(「創世記」21章21節、「民数記」10章12節、12章16節、

「申命記」33章2節)。

 

3章5節に出てくる「疫病」は

エジプトを襲った数々の不幸にも含まれていました。

様々な不幸によって神様はエジプトのファラオを懲らしめたのです。

 

「主の手は最も激しい疫病をもって、

野にいるあなたの家畜、すなわち馬、ろば、らくだ、牛、羊の上に臨むであろう。

(中略)

わたしがもし、手をさし伸べ、疫病をもって、

あなたと、あなたの民を打っていたならば、

あなたは地から断ち滅ぼされていたであろう。」

(「出エジプト記」9章3、15節)。

 

疫病自体はより広い意味で

「神様が下される罰」のうちのひとつとして知られていました

(「レビ記」26章25節、「詩篇」78篇48〜50節)。

その一方で、

主なる神様に信頼する人はこのような疫病を恐れる必要がないことを

教えてくれる次のような御言葉もあります。

 

「いと高き者のもとにある

隠れ場に住む人、全能者の陰にやどる人は

主に言うであろう、「わが避け所、わが城、

わが信頼しまつるわが神」と。

主はあなたをかりゅうどのわなと、

恐ろしい疫病から助け出されるからである。

主はその羽をもって、あなたをおおわれる。

あなたはその翼の下に避け所を得るであろう。

そのまことは大盾、また小盾である。

あなたは夜の恐ろしい物をも、

昼に飛んでくる矢をも恐れることはない。

また暗やみに歩きまわる疫病をも、

真昼に荒す滅びをも恐れることはない。」

(「詩篇」91篇1〜6節、口語訳)。