2023年6月2日金曜日

「ハバクク書」ガイドブック 「ハバクク書」3章1〜2節 ハバククの賛美歌

ハバククの賛美歌 「ハバクク書」3章1〜2節

 

「シギヨノテの調べによる、

預言者ハバククの祈。

主よ、わたしはあなたのことを聞きました。

主よ、わたしはあなたのみわざを見て恐れます。

この年のうちにこれを新たにし、

この年のうちにこれを知らせてください。

怒る時にもあわれみを思いおこしてください。」

(「ハバクク書」3章1〜2節、口語訳)

 

「ハバクク書」3章はおそらく独立した部分として、

例えば礼拝などで使用されることもあったと考えられています。

賛美歌の形式で書かれており、

音楽用語あるいは礼拝用語とみられる言葉も5回登場します

(1、3、9、13、19節)。

そのうちの3回は「詩篇」でよく見かける「セラ」です。

この言葉の正確な意味は知られていませんが、

音楽あるいは礼拝に関わりのある専門用語であろうと推測されています。

 

この箇所は「祈り」として書き記されています(3章1節)。

同じような祈りとしは

「詩篇」17篇1節、86篇1節、90篇1節、142篇1節などがあります。

以下に一例を挙げます。

 

「苦しむ者が思いくずおれてその嘆きを主のみ前に注ぎ出すときの祈

主よ、わたしの祈をお聞きください。

わたしの叫びをみ前に至らせてください。」

(「詩篇」102篇1節、口語訳)

 

「ハバクク書」3章の描写は「哀歌」にもなっています(3章1節)。

これについては「詩篇」7篇1節なども参考になります。

預言者は神様から啓示を受けた内容に「おそれ」を抱きます

(3章2節、3章16節)。

「恐れ」を表す言葉(ヘブライ語で「ヤーレー」)は

神様への「畏れ」も意味します

(「創世記」22章12節、「詩篇」15篇4節、「箴言」1章7節など)。

一例を以下に挙げます。

 

「あなたがたのうち主を恐れ、

そのしもべの声に聞き従い、

暗い中を歩いて光を得なくても、なお主の名を頼み、

おのれの神にたよる者はだれか。」

(「イザヤ書」50章10節、口語訳)

 

3章2節には「あわれみを思いおこす」という表現が出てきます。

聖書では「思いおこす」という言葉には

主なる神様による憐れみあるいは恵みの契約が含意されていることが

しばしばあります。

用例としては旧約聖書では

「創世記」8章1節、9章15節、「ネヘミヤ記」1章8節、

「ヨブ記」14章13節、「ホセア書」11章8〜11節、

また新約聖書では

「ルカによる福音書」1章54、72節を挙げることができます。