2023年5月4日木曜日

「ハバクク書」ガイドブック 「ハバクク書」2章5〜20節 バビロニアを嘲る歌(その2)

 バビロニアを嘲る歌 「ハバクク書」2章5〜20節(その2)

 

2章6節には最初の「わざわい」の託宣が出てきます。

同じような託宣の例としては

「イザヤ書」5章8〜23節、

「マタイによる福音書」23章13〜33節、

「ルカによる福音書」6章24〜26節、

「ヨハネの黙示録」9章12節、11章14節を挙げることができます。

 

2章8節は、悪がさらなる悪をもたらし、

暴力がさらなる暴力をまきおこすことを指摘しています。

この視点は以下に引用する新約聖書の「マタイによる福音書」や

「ガラテアの信徒への手紙」の箇所にも出てきます。

 

「そこで、イエスは彼に言われた、

「あなたの剣をもとの所におさめなさい。

剣をとる者はみな、剣で滅びる。」

(「マタイによる福音書」26章52節、口語訳)

 

「まちがってはいけない、神は侮られるようなかたではない。

人は自分のまいたものを、刈り取ることになる。」

(「ガラテアの信徒への手紙」6章7節、口語訳)

 

このような悪の連鎖反応すなわち悪循環は

悪に対して悪をもって報復することによってではなく、

逆に善をもって応答することによってのみ断ち切られることが可能です。

 

バビロニアの壮大な建築事業は

他の諸民族から搾取し略奪することによって推進されました(2章9節)。

そしてそれは「我が国は決して他国に敗北することがない」

という傲慢な思い込みに基づくものでした(2章9節)。

しかし主は奢り昂る者に裁きの託宣を下されます。

このことについては「イザヤ書」14章4〜15節や

次に引用する「オバデヤ書」3〜4節などが参考になります。

 

「岩のはざまにおり、高い所に住む者よ、

あなたの心の高ぶりは、あなたを欺いた。

あなたは心のうちに言う、

「だれがわたしを地に引き下らせる事ができるか」。

たといあなたは、わしのように高くあがり、

星の間に巣を設けても、

わたしはそこからあなたを引きおろすと

主は言われる。」

(「オバデヤ書」3〜4節、口語訳)

 

悪行を積み重ねて築かれた楼閣は脆いものであり、

結局は灰燼に帰してしまいます(2章12〜13節)。

人であれ国であれ、

神様から離れて生きようとするかぎり一切の労苦は無益なものです。

 

「万軍の主はこう言われる、

バビロンの広い城壁は地にくずされ、

その高い門は火に焼かれる。

こうして民の労苦はむなしくなり、

国民はただ火のために疲れる」。」

(「エレミヤ書」51章58節、口語訳)。