2020年4月22日水曜日

「詩篇」とりわけ「ざんげの詩篇」について 「詩篇」143篇

 「詩篇」とりわけ「ざんげの詩篇」について


「詩篇」143篇

143:1
ダビデの歌
主よ、わが祈を聞き、
わが願いに耳を傾けてください。
あなたの真実と、あなたの正義とをもって、
わたしにお答えください。
143:2
あなたのしもべのさばきに
たずさわらないでください。
生ける者はひとりもみ前に義とされないからです。
143:3
敵はわたしをせめ、
わがいのちを地に踏みにじり、
死んで久しく時を経た者のように
わたしを暗い所に住まわせました。
143:4
それゆえ、わが霊はわがうちに消えうせようとし、
わが心はわがうちに荒れさびれています。
143:5
わたしはいにしえの日を思い出し、
あなたが行われたすべての事を考え、
あなたのみ手のわざを思います。
143:6
わたしはあなたにむかって手を伸べ、
わが魂は、かわききった地のように
あなたを慕います。〔セラ
143:7
主よ、すみやかにわたしにお答えください。
わが霊は衰えます。
わたしにみ顔を隠さないでください。
さもないと、わたしは穴にくだる者のように
なるでしょう。
143:8
あしたに、あなたのいつくしみを聞かせてください。
わたしはあなたに信頼します。
わが歩むべき道を教えてください。
わが魂はあなたを仰ぎ望みます。
143:9
主よ、わたしをわが敵から助け出してください。
わたしは避け所を得るために
あなたのもとにのがれました。
143:10
あなたのみむねを行うことを教えてください。
あなたはわが神です。
恵みふかい、みたまをもって
わたしを平らかな道に導いてください。
143:11
主よ、み名のために、わたしを生かし、
あなたの義によって、
わたしを悩みから救い出してください。
143:12
また、あなたのいつくしみによって、わが敵を断ち、
わがあだをことごとく滅ぼしてください。
わたしはあなたのしもべです。
(口語訳)

全部で七篇ある「ざんげの詩篇」のうちのこの最後の詩篇は
内容的には「ざんげの詩篇」ではありません。
これは「一人の人間の嘆きの歌」という性格をもっており、
他の多くの「詩篇」でも頻繁に登場する「敵」の存在が
詩人に苦しみを与えています。
もちろん詩篇朗唱者自身の罪も苦しみの一因として言及されています。
また、この「詩篇」では「罪の赦し」ではなく
「敵からの解放」が実現するようにという祈りが主題になっています。