2019年3月6日水曜日

「ペテロの第一の手紙」ガイドブック 4章1〜6節 終末は近い(その2)

「ペテロの第一の手紙」第4章

「ペテロの第一の手紙」ガイドブック 4章1〜6節 終末は近い(その2)

「死人にさえ福音が宣べ伝えられたのは、
彼らは肉においては人間としてさばきを受けるが、
霊においては神に従って生きるようになるためである」
(「ペテロの第一の手紙」4章6節、口語訳)。

新約聖書全体を見渡してみても、
この6節はその意味を理解するのが最も難しい箇所のひとつといえるでしょう。
そのせいもあって、極論を振りかざす人々もでてきます。
例えば「この世でキリストについて聞く機会のなかった人々には、
死んだ後でもう一度チャンスが与えられる」という解釈も提案されています。
しかし、このような説明は拙速にすぎます。
「死者」は実に多様な意味で使用されうる言葉です。
それは「霊的に死んでいる人々」のことを指すこともあるし、
3章19〜20節にあるように
「ノアの同時代人たち」のことを指す言葉でもあります。
あるいはまた
「キリストがこの世にお生まれになる以前に生きていたユダヤ人や異邦人」
のことを指しているとも理解することができます。
この節は「生前に福音を聴いてキリスト信仰者になってから死んだ人々」
のことを意味している、というのも説得力のある解釈でしょう。

「キリスト教信仰の信条は、意味に曖昧さが残る箇所ではなく
明確に説明できる聖書の箇所に基づくものでなければならない」
というのが古くから遵守されてきたルター派の基本的な考え方です。

この6節に関しても、あれこれ想像をめぐらすことはひとまずおいて、
むしろ、人間の理解をはるかに超える大いなる神様の御前にひれ伏す
信仰者としての姿勢を保つことこそが、
私たちにふさわしい態度なのではないでしょうか。