「ペテロの第一の手紙」の典型的な特徴は、
すでにこの最初の章にあらわれています。
この手紙ははじめに、
神様が私たちにしてくださったことについて語り、
すぐその後で、
このことに基づく私たちの生き方について語ります。
パウロの手紙では息の長い文章が続きます。
「ローマの信徒への手紙」はこの最良の例と言えます。
しかし、このペテロの手紙の文章には「ヘブライの信徒への手紙」と同様に、
とても短いものも含まれています。
この特徴のおかげで、
「ペテロの第一の手紙」は読みやすくわかりやすいものになっています。
神様は何をしてくださったのか?
この神様の御業は私の生き方にどのような影響を与えるのか?
このパターンが手紙全体を通じて繰り返し展開されていきます。
エジプトでの隷属状態の中で生活していたイスラエルの民は
「故郷に帰る支度をするように」との命令を神様から受けました。
過越の食事はこの出来事を記念するものでした。
奴隷の状態から解放されるために
エジプトを出発しようとしていることについて、
イスラエルの民はこの段階ではまだ一切知らされていませんでした。
しかしその一方で、彼らは
「旅支度を整えた上でこの食事をとるように」という指示を受けていました。
旧約聖書のこの出来事のイメージを用いて、
今ペテロは手紙の読者にも「旅支度を整える」ように奨励しているのです。
苦しみの時はもうすでにはじまっています。
しかし、それは長く続くものではありません。
主は近くにおられます。
この世における人生は永遠に続くものではありません。