1章3〜12節 喜びと苦しみと(その2)
神様の御業に対する喜び、および、それに基づく慰め、
という二つの要素が
この手紙の始めから終わりまでの基本的なテーマになっています。
神様の御国に属する者たちは、
この世においては
容易ならざる苦しみを甘受するほかない状態に置かれています。
しかし、これらの苦しみはわずか短い間だけ続くものです。
それは金細工職人が金属を取り扱う様子に比較できます。
金属は高熱の炉の中ですっかり溶解します。
精錬され形を整えられて、最終的には美しく素敵な玉飾りになるのです。
これと同じように
「信仰」という金が安物の金属の場合よりも
さらに過酷な条件の下で精錬されたとしても、
キリスト信仰者は驚いたり怪しんだりするべきではありません。
精錬によって作り上げられる最終的な形態、
すなわち神様の御許における「永遠の命」は、
どのような玉飾りよりもはるかに高価な宝物だからです。
この箇所ではまず、
旧約聖書と新約聖書が一体になっていることを私たちは確認します。
現代において、旧約聖書は
内容的に軽視されたり違和感を持たれたりすることが多い書物です。
しかし、旧約聖書に対するこのような現代人の態度は
キリスト教会には本来まったくそぐわない考え方です。
なぜなら、
新約聖書は旧約聖書なしには存在し得ない書物だからです。
旧約の預言者たちとキリストとは、
ひとまとめにして理解されるべきなのです。