2018年4月18日水曜日

「フィレモンへの手紙」ガイドブック オネシモの事件 8〜22節(その4)


オネシモの事件 8〜22節(その4)


「しかも、もはや奴隷としてではなく、
奴隷以上のもの、愛する兄弟としてである。
とりわけ、わたしにとってそうであるが、
ましてあなたにとっては、肉においても、主にあっても、
それ以上であろう。」
(「フィレモンへの手紙」16節、口語訳)

この16節は、
オネシモが今やどのような存在になったのかを説明しています。
以前の彼はただの奴隷にすぎませんでした。
しかも悪い奴隷だったのです。
ところが、今や彼はキリストにあって信仰の兄弟になりました。
自分の主人と並んで永遠の命にあずかれる者とされたのです。

「そこで、もしわたしをあなたの信仰の友と思ってくれるなら、
わたし同様に彼を受けいれてほしい。」
(「フィレモンへの手紙」17節、口語訳)


この節でパウロはもう一度フィレモンに対して、
あたかも使徒パウロ自身を受け入れるかのようにして
オネシモのことを受け入れてくれるように懇願しています。

このガイドブックの「はじめに」のところで、
オネシモがフィレモンのもとを去った理由として
考えられうる二つの原因を提示しました。
もしかしたら彼は奴隷の立場から解放されたくて
主人のもとから逃亡したのかもしれません。
あるいは、
彼は何かよくないことをしでかして、
そのせいで主人の前に出る勇気がなくなってしまったのかもしれません。
逃げ出した際にオネシモが逃避行に必要となる金銭を
フィレモンから掠めた可能性も否定できないでしょう。
主人を避けて逃げ回っているのだとしたら、
オネシモはフィレモンに対してかなりの経済的損失を与えた可能性もあります。