オネシモの事件 8〜22節(その3)
「彼は以前は、あなたにとって無益な者であったが、
今は、あなたにも、わたしにも、有益な者になった。」
(「フィレモンへの手紙」11節、口語訳)
「これからも世話してもらうことを期待して
オネシモを自分のもとにできるだけ早く送り返してくれるよう、
ここでパウロはフィレモンに言葉を慎重に選びつつお願いしているのだろう」
などといった余計な想像を巡らす必要はまったくありません。
パウロはただ、
オネシモが彼にとってどれほど愛すべき存在であり、
また役に立つ存在となったか、ということを伝えたいだけなのです。
オネシモはキリストのよき従僕であり、
年老いた使徒パウロは彼のことを
できることなら自分のそばに留めておきたいと望んでいます。
しかしながら、神様の指し示される人生の歩みは
人間の視点からは不思議に映るものです。
次にあげる15節はその感動的な例とも言えましょう。
「彼がしばらくの間あなたから離れていたのは、
あなたが彼をいつまでも留めておくためであったかも知れない。」
(「フィレモンへの手紙」15節、口語訳)
驚くべきことに、
オネシモがフィレモンの家を出て行かなければならなかったのは、
彼がキリスト信仰者になるためだった、というのです!
もしも彼がフィレモンの家にずっと留まっていたなら、
彼はもしかしたら死ぬまで
「神様の敵」として生き続けることになってしまったのかもしれません。