2018年3月19日月曜日

「フィレモンへの手紙」ガイドブック 感謝の祈り 4〜7節(その2)

感謝の祈り 4〜7節(その2)

この節においてパウロは
友人に対していたって私的な語りかけをしています。
フィレモンは信仰の兄弟姉妹に対して数々の素晴らしいことを行いました。
たくさんのキリスト信仰者が
フィレモンのもとで慰めと新たな力とを得たのです。
この「よき知らせ」を伝え聞いた使徒パウロは大いに喜びました。
フィレモンが行った善い行いの具体的な内容については、
よくわかっていません。

それとは対照的に、
フィレモン本人はもちろんのこと、
彼の家に集合していた教会の信仰者たちもまた、
パウロがここで具体的にどのようなことがらを指して話しているのか
について知っていたのは確実です。

フィレモンがほかのキリスト信仰者たちに示した、
キリスト信仰者としての愛の行いについて、
パウロは礼儀正しい態度で委曲を尽しつつ書き記しています。
このような使徒の書き方は大げさすぎるのではないか、
と批判するのは適切ではないでしょう。
フィレモンがパウロの書いたとおりのことを行ったのは
確かであると思われるからです。

またこの箇所では、
パウロが「ある特定の意図」を念頭に置いて
この手紙を巧みに書き進めている点にも注目するべきでしょう。
フィレモンの示してきた「兄弟愛」について言及することで、
使徒パウロは以下に述べる「ある頼み事」を
フィレモンにとって承諾しやすいものとするための用意を整えている、
という言いかたもできるでしょう。