2024年7月8日月曜日

「テモテへの第一の手紙」ガイドブック 「テモテへの第一の手紙」3章8〜13節 教会の執事たちのもつべき特徴(その1)

教会の執事たちのもつべき特徴(その1)

「テモテへの第一の手紙」3章8〜13節

 

ディアコニア職員は元々はギリシア語で

「(食卓での)召使い」を意味しました。

ディアコニアの職は「使徒言行録」6章の出来事に基づいて設定されたものです。

ユダヤ教徒の会堂と同じように、初期のエルサレムの教会も

貧しい教会員たちを経済的に援助するために献金を集めました。

ところが「ギリシア語を話すやもめたちが

経済支援においてなおざりにされている」と

ギリシア語を話す教会員たちがヘブライ語を話す教会員たちを

批判するようになったのです。

それを受けて使徒たちは七人のディアコニア職員を任命することにしました。

彼らのうちで最も有名になったのがステパノでした。

 

「執事」(ディアコニア職員)に要求される項目は

多くの点で「監督」(牧師)に要求される項目と類似しています。

 

ディアコニア職員は私益をかすめようとすれば

それが可能な立場にありました(3章8節)。

それゆえディアコニア職員は

そのような不正を行わない人物でなければなりませんでした。

 

二枚舌を使わない(3章8節)というのは

同じ事柄について二つの異なる流言を周りに広めてはいけないという意味です。

教会員たちの家々でディアコニア職員たちは

色々な人々のさまざまな近況を知ってしまう機会があったため、

人の悪口を他言しないように自制できないと、

かえって悪いうわさ話を周囲に広める張本人になってしまう

危険がありました(3章11節)。

 

「きよい良心をもって、信仰の奥義を保っていなければならない。」

(「テモテへの第一の手紙」3章9節、口語訳)

 

上節の「信仰の奥義」とは福音、そしてキリストのことです

(3章16節、

「コロサイの信徒への手紙」2章2節。

また「マタイによる福音書」13章11節、

「ローマの信徒への手紙」11章25節、

「コリントの信徒への第一の手紙」2章6〜10節、4章1節、15章51節

も参考になります)。

 

「彼らはまず調べられて、不都合なことがなかったなら、

それから執事の職につかすべきである。」

(「テモテへの第一の手紙」3章10節、口語訳)

 

監督(牧師)が任命前に吟味されたように、

執事(ディアコニア職員)も吟味を受けなければなりません。

ただしこの審査の意味は、

執事には正式に採用される前に仮採用の期間が課されたということではなく、

これから教会の職務を担っていくことになる者の人となりについて

教会が実地経験を通じてあらかじめ十分に把握しておかなければならない

ということです。