2024年7月11日木曜日

「テモテへの第一の手紙」ガイドブック 「テモテへの第一の手紙」3章8〜13節 教会の執事たちのもつべき特徴(その2)

 教会の執事たちのもつべき特徴(その2)

「テモテへの第一の手紙」3章8〜13節

 

「女たちも、同様に謹厳で、他人をそしらず、自らを制し、

すべてのことに忠実でなければならない。」

(「テモテへの第一の手紙」3章11節、口語訳)

 

ギリシア語で「他人をそしる者」は

3章6、7節の「悪魔」と同じく「ディアボロス」です。

元々この言葉は

「非難する者」や「他人の悪口を言う者」や「密告する者」を意味していました。

神様の敵はまさにこのような者なのであり、

私たちのことも神様の御前で責めて神様の愛から引き離そうとします。

 

上掲の節は二つのやりかたで解釈できます。

第一に「女たち」は執事たちの妻たちを意味しているとする解釈です。

第二に「女たち」は女性の執事を指しているという解釈です。

ギリシア語原版の新約聖書ではたんに「女たち」とのみ記されています。

 

3章の冒頭では監督の妻たちについての記述が一切ありません。

それなのにどうして執事たちの妻たちについての記述はあるのか

という自然な疑問が湧いてきます。

パウロは「ローマの信徒への手紙」の最後の箇所で

ケンクレヤにある教会の女性執事フィベに挨拶を送っています

(「ローマの信徒への手紙」16章1節)。

すなわち執事(すなわちディアコニア職員)たちの中には女性もいたのです。

 

「テモテへの第一の手紙」3章11節の「女たち」は

執事たちの妻たちを意味していると考える人々は

「テモテへの第一の手紙」5章1〜16節が教会に存在した女性の職務

すなわち「やもめ」について述べている箇所であると考えます。

 

「執事はひとりの妻の夫であって、

子供と自分の家とをよく治める者でなければならない。」

(「テモテへの第一の手紙」3章12節、口語訳)

 

この節には「執事はひとりの妻の夫」でなければならないと述べられています。

当時の世界では「ひとりの妻に複数の夫がいる」という考え方は

きわめて奇妙であると言わざるをえません。

それゆえこの節は一夫一婦の婚姻関係にある男性執事のみを

対象としたものであると考えることができます。

 

「執事の職をよくつとめた者は、良い地位を得、

さらにキリスト・イエスを信じる信仰による、大いなる確信を得るであろう。」

(「テモテへの第一の手紙」3章13節、口語訳)

 

信仰はそれを活用するときにこそ成長するものであることを

この節は保証しています。

信仰は実生活の中でこそ鍛錬されていくべきものなのです。

 

「良い地位を得」るとは、

執事の職をよくつとめた者たちが現在より高い職務に出世することではなく、

彼ら自身が信仰者として前よりも高く評価されるような地位を

得るようになることを意味しています。