2024年6月10日月曜日

「テモテへの第一の手紙」ガイドブック 「テモテへの第一の手紙」3章1〜7節 教会の牧師の有するべき特徴(その2)

  

牧師の職務とそれを遂行するために必要とされる諸条件

「テモテへの第一の手紙」3章

 

教会の牧師の有するべき特徴

「テモテへの第一の手紙」3章1〜7節(その2)

 

2)慎み深いこと(3章2節)


指導者たちには彼ら自身の行いを吟味し監督してくれる

他の指導者たちが欠けています。

それゆえ彼らは自分で自分を律しなければなりません。

 

3)旅人をもてなすこと(3章2節)


古典古代における「宿屋」の評判はけっしてよいものではありませんでした。

それもあってキリスト諸教会は

方々を旅して回る説教伝道者たちに安全な宿泊所を提供したのです

(「テトスへの手紙」1章8節、

「フィレモンへの手紙」22節、

「ヘブライの信徒への手紙」13章2節、

「ヨハネの第三の手紙」5〜8節)。

 

4)よく教えることができること(3章2節)


これは教会の牧師の有するべき様々な特徴のうちでも

唯一職業的に要求される資質です。

神様は牧師の職務を遂行するために必要な賜物や技能を貸与してくださいます。

その一方で神様はすでにあらかじめ特定の人々を

キリスト教会の僕(しもべ)として用意なさってもいます。

 

5)酒を好まないこと(3章3節)


ここでパウロは絶対的な禁酒を要求しているのではありません

(「テモテへの第一の手紙」3章8節、5章23節、

「ヨハネによる福音書」2章1〜12節の

「カナの婚礼」の出来事も参考になります)。


アルコールは指導者にとって最も重要な資質のひとつである

判断力を鈍らせてしまいます。

「箴言」は酒のもたらす危険について王たちに警告しています

(「箴言」31章4節および20章1節および23章29〜35節、

「イザヤ書」5章22〜23節および28章7〜10節も参考になります)。

 

6)ふさわしい性質(3章3節)


牧師は寛容であるべきで(「フィリピの信徒への手紙」4章5節)、

人と争わず、乱暴でなく(「テトスへの手紙」1章7節)、

争いません(「テトスへの手紙」3章2節)。

 

7)金銭に対して正しい態度を保っていること(「金に淡泊」3章3節)


牧師は貪欲であってはなりません

(「テモテへの第一の手紙」6章5、10節、

「テモテへの第二の手紙」3章2節、

「ペテロの第一の手紙」5章2節。

また「ヨハネによる福音書」12章6節も参考になります)。

 

アメリカ合衆国のテレビ説教者たちの中には

キリスト教関係のテレビ番組が集金手段として優れていることに

気づいた人々もたくさんいました。

すると彼らの説教からは福音が消えてしまったのです。


旧約の預言者サムエル(「サムエル記上」12章1〜5節)と

新約の使徒パウロ(「使徒言行録」20章33〜35節)は

金銭や財産に関して過ちを犯さなかった

と同時代の人々から証言されていました。


ところが旧約の預言者ミカの時代の

この世の指導者たちやユダヤ教の指導者たちはそろって強欲でした

(「ミカ書」3章1〜5節)。

 

8)自分の家をよく治めること(3章4〜5節)


主の祭司エリはこの点で人々が避けるべき反例となっています

(「サムエル記上」3章12〜14節)。

エリは自分の二人の息子たち(祭司ホフニとピネハス)に

主を畏れない悪行をこれ以上続けないようにきちんと訓戒できなかったのです。


キリスト信仰者にとって自分の家族は

「最も難しく最も重要な宣教地」であるとも言われます

(「テトスへの手紙」1章6節を参照してください)。


キリスト教伝道に携わる者にとって家族からの支えは非常に重要になります。

 

9)キリスト信仰者として成熟していること(3章6節)


信者になって間もない者が早々と教会の指導者の地位に上ると

高慢になる可能性が高くなります。


異端と戦うためには

キリスト信仰者として十分に成熟していることと

キリスト教の教義を堅く保持していることが要求されます。

人は信仰の中で成長していきますが、

そのためには相応の時間を必要とします。

 

10)教会の外部の人々からもよい評価を得ていること(3章10節)


教会の指導者は教会全体を代表する存在でもあります。

彼は教会に属さない人々に対して

「どのような教会であるか」という印象を与える立場にあるからです

(「コリントの信徒への第一の手紙」10章32節、

「コロサイの信徒への手紙」4章5節、

「テサロニケの信徒への第一の手紙」4章12節)。