2016年6月20日月曜日

「ローマの信徒への手紙」ガイドブック 14章 パウロは一切の規定を嫌っていたのでしょうか?(その1)

「ローマの信徒への手紙」14

パウロは一切の規定を嫌っていたのでしょうか?(その1)


「ローマの信徒への手紙」14章は今までしばしば誤って用いられてきました。
この章に依拠して、
「パウロは上に挙げた事柄のみならず他のことに関しても、
キリスト信仰者の生き方について明確な指示を与えることに
そもそも我慢がならなかったのだ」
という主張もなされました。
この考え方に従うならば、
それぞれの人には自分にとって好ましいこと、
もっと格好の良い表現をするならば、
自らのキリスト信仰者としての愛が行うように促す事柄を
実際に行う自由があることになります。
この指示をパウロはある程度まで認めます。
ただし、この承認はあくまでも部分的なものでした。
とりわけコリントの信徒たちに対してパウロは、
手紙で彼がキリスト信仰者の生き方に関して与えた一連の指示について、
キリスト信仰者全員が例外なく絶対に遵守すべきものであることを
強調しています。
パウロはこれらの指示が「主の命令」であることを
二度にわたって告げています
(「コリントの信徒への第一の手紙」710節、1437節)。

パウロがどのような基準によって、
手紙に書いたキリスト信仰者の生き方に関する指示を、
すべてのキリスト信仰者を等しく束縛するものと、
指示に従うかどうか各人が自由に決めることができるものとに分けたのか、
私たちは知りません。

私たちはただ主の使徒にひたすら従順であるべきです。
また、ここでの使徒パウロの判断にも
聖霊様の働きかけがあることに信頼を置くべきです。

パウロは一切の規定を嫌悪していたわけではありません。
ですから、私たちもまた、
パウロやその他の人々を通して記述された新約聖書が与えている
一連の指示に反対して行動してはいけないのです。