2014年12月12日金曜日

「ローマの信徒への手紙」ガイドブック 6章の総括

6章の総括

考えてみると、「ローマの信徒への手紙」6章は、奇妙な文章です。
そこでは、私たちが普通なら相反するものとみなしている
二つの事柄が並行して語られているからです。

まず、
神様が洗礼の恵みを通して私たちのすべての罪を赦してくださる、
という神様の尽きることのない善き御心を、この章から読み取ることができます。
この点に関しては、
私たち自身の行いや善さがどれほどのものであるか、
といったことは問われていません。
神様御自身が働いてくださるのであり、
私たちはその働きかけを受ける立場にあるからです。
まさにこのようにして、
神様は私たちひとりひとりに
キリストのあがないの御業をプレゼントしてくださいます。
すべては神様からの賜物なのです。


ところがその一方で、パウロはこの箇所で、
キリスト信仰者の正しい生き方を皆に勧めています。
昔のキリスト信仰者はこの聖書の箇所を念頭において、
「あなたの心の中にあるのは平和ですか、それとも争いですか」、
と尋ね合ったものです。
誰かが、「私の心には平和があります」、と答えた場合には、
それは間違った答えでした。
なぜなら、キリスト信仰者の心の中は常に「戦争状態」にあるからです。

どういうことかというと、
「新しい人」が「古い人」に対して戦っていますし、
義が罪に対して戦っているからです。
して、キリストが悪魔に対して戦っておられます。
この戦いは私たちを苦境に立たせます。
何度も敗北を喫することになるかもしれません。
それでも、私たちは、 
この戦いにおいて神様御自身がしっかり私たちの面倒を見てくださっている、
と信じてよいのです。
なぜなら、すでに神様は私たちのために、
「最後の決戦」において勝利を収めておられるからです。

この「最後の決戦」とは、
十字架の死と死者からの復活とによって、
イエス様が罪と死と悪魔に完全に勝利なさったことを意味しています。
このイエス様の御業のおかげにより、
私たちを待ち受けているのは、もはや罪の報酬としての死ではなく、
神様の恵みの賜物、すなわち、永遠の命になっているのです。
そして、この永遠の命の世界において、
「古い人」と「新しい人」との間の戦争は
「新しい人」の勝利をもって終結し、
永遠の平和が始まるのです。

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