2024年10月10日木曜日

「テモテへの第一の手紙」ガイドブック 「テモテへの第一の手紙」4章11〜16節 五番目の福音書(その2)

 五番目の福音書(その2)

(「テモテへの第一の手紙」4章11〜16節)

 

「わたしがそちらに行く時まで、

聖書を朗読することと、

勧めをすることと、

教えることとに心を用いなさい。」

(「テモテへの第一の手紙」4章13節、口語訳)

 

「聖書を朗読すること」とは聖書を公に朗読することです。

ユダヤ人たちは会堂の礼拝で旧約聖書を朗読しました

(「ネヘミヤ記」8章8節、

「ルカによる福音書」4章16〜19節、

「使徒言行録」13章15節、15章21節)。

キリスト信仰者たちは旧約聖書だけではなく

イエス様をめぐる出来事の記述について

礼拝で朗読する習慣がありました(5章18節も参考になります)。

これらの記述が後に福音書としてまとめられることになります。

キリスト信仰者たちは使徒たちの数々の手紙も礼拝で朗読しました

(「テサロニケの信徒への第一の手紙」5章27節、

「コロサイの信徒への手紙」4章16節、

「ペテロの第二の手紙」3章16節。

また「ヨハネの黙示録」1章3節、22章18〜19節も参照してください)。

 

礼拝では聖書の朗読に続いてその箇所の解き明かしがなされました

(「ルカによる福音書」4章21節、

「使徒言行録」13章16〜47節も参照してください)。


現代の教会の礼拝においても

説教は聖書の御言葉の適切な解き明かしであるべきものです。

 

上節は当時の礼拝の内容を表しています。

ここには聖餐式についての記述がありませんが、

最初の頃の教会のすべての礼拝では聖餐式が執り行われていました

(「コリントの信徒への第一の手紙」11章17〜21節)。

 

また上掲の節からは

パウロがこの段階では自分がエフェソに行けることを

希望していたことがわかります

(3章14節にもこの希望が述べられています)。

 

テモテは福音を宣教する教会職に任命されました(4章12節)。

おそらくこの任命は

パウロが彼を自分の同僚として連れて行った

第二次伝道旅行の時になされたものと思われます

(「使徒言行録」16章3節、

「テモテへの第二の手紙」1章6節)。

 

「長老の按手を受けた時、

預言によってあなたに与えられて内に持っている恵みの賜物を、

軽視してはならない。」

(「テモテへの第一の手紙」4章14節、口語訳)

 

テモテをお選びになったのは人間ではなく神様です

(1章18節も参考になります)。

それゆえテモテを軽んじることは神様を軽んじることにもなります。

 

神様はテモテに教会職の遂行に必要な恵みの賜物を授けました。

パウロはこの賜物を十分に活用するようにとテモテを励ましています

(「テモテへの第二の手紙」1章6節)。

 

神様はキリスト信仰者各々が

いただいた賜物を活用していくようにと招いておられます。

 

それゆえ私たちは

キリスト信仰者が神様からいただいた賜物を無駄にしないようにするために、

ふさわしい人物がふさわしい職務に任命されることを祈らなければなりません。