「ヤコブの手紙」ガイドブック
終わりの挨拶のないままに
既出の5章19〜20節にて、
ヤコブは古典古代の手紙および新約聖書の手紙にはつきものの
終わりの言葉や挨拶を記さないまま唐突にこの手紙を閉じています。
それもあって「ヤコブの手紙」は
いわば序論付きの説教のようなものとみなされる場合もあります。
しかし例えば「ヨハネの第一の手紙」も
終わりの言葉や挨拶がないままで閉じられています。
古典古代における手紙の書き方の作法は絶対的なものではなく、
そこから逸脱した流儀で書かれることもありました。
「ヤコブの手紙」はそのような手紙でした。
しかし、まさにそれによって
最後の節がよりいっそう印象深いものになっていると思います。
(終わり)
フィンランド語版著者 パシ・フヤネン(フィンランド・ルーテル福音協会牧師)
日本語版翻訳・編集者 高木賢(フィンランド・ルーテル福音協会)
前回の掲載時に上記の箇所を加えるのを忘れていました。
次回からはまた別の聖書の手紙について取り上げることにします。