2021年2月17日水曜日

「ヨナ書」ガイドブック イスラエルの敵、ヨナのしるし、「ヨナ書」の構成

イスラエルの敵

 

神様がヨナに行くように命じたニネヴェという都市はアッシリアの首都であり、

メソポタミアのチグリス川に面していました。

 

ヨナ書に描かれている時点でのアッシリアは

まだ広大な領土を誇る大帝国にはなっていません。

紀元前745年に王となったティグラト・ピレセル3世が導入した

軍制改革(徴兵制度)によってアッシリアは文字通りの「世界の覇者」となったのです。

そして、紀元前722〜720年にアッシリアの軍隊は

イスラエル王国の首都サマリアを占領して破壊し、

イスラエルの民を捕囚としてメソポタミアへ連れ去りました。

 

 

ヨナのしるし

 

「自分がメシアであることの証としてどのようなしるしを我々に示すつもりなのか」

と問われたイエス様は

「「ヨナのしるし」以外のしるしは与えない」とお答えになりました。

(「マタイによる福音書」12章38〜42節、16章1〜4節、

「ルカによる福音書」11章29〜32節)

 

「そのとき、律法学者、パリサイ人のうちのある人々がイエスにむかって言った、

「先生、わたしたちはあなたから、しるしを見せていただきとうございます」。

すると、彼らに答えて言われた、

「邪悪で不義な時代は、しるしを求める。

しかし、預言者ヨナのしるしのほかには、なんのしるしも与えられないであろう。

すなわち、ヨナが三日三晩、大魚の腹の中にいたように、

人の子も三日三晩、地の中にいるであろう。

ニネベの人々が、今の時代の人々と共にさばきの場に立って、

彼らを罪に定めるであろう。

なぜなら、ニネベの人々はヨナの宣教によって悔い改めたからである。

しかし見よ、ヨナにまさる者がここにいる。

南の女王が、今の時代の人々と共にさばきの場に立って、彼らを罪に定めるであろう。

なぜなら、彼女はソロモンの知恵を聞くために地の果から、

はるばるきたからである。

しかし見よ、ソロモンにまさる者がここにいる。」

(「マタイによる福音書」12章38〜42節、口語訳)

 

「「ヨナのしるし」という言葉でイエス様が意味していたのは

悔い改めを要求する説教である」と考える研究者たちもいますが、的外れです。

はたして悔い改めを求める説教は「しるし」と呼べるものでしょうか。

上に引用した「マタイによる福音書」12章40節で

イエス様御自身が言われているように、

この「しるし」とは、ヨナが海の大魚の腹の中に三日間過ごした出来事が、

イエス様が聖金曜日からイースター主日までの三日にまたがる期間に

墓の中に埋葬されることをあらかじめ示したものだったのです。

 

 

 

「ヨナ書」の構成

 

聖書の各書はいろいろなやり方で区分することができるので、

ある特定の区分法だけが唯一正しいものとは言えません。

 

次にあげる区分は「ヨナ書」のメッセージを浮き彫りにするものであると思います。

 

1)海でのヨナ 1章1節〜2章10節

A. 預言者の召命を受けるヨナ 1章1〜3節

B. ヨナと船乗り 1章4〜16節

C. 救いを感謝するヨナ 2章1〜10節

 

2)ニネヴェでのヨナ 3章1節〜4章11節

A. 再び召命を受けるヨナ 3章1〜3節

B. ヨナとニネヴェの人々 3章4〜10節

C. ニネヴェの人々の救いを怒るヨナ 4章1〜11節