ルツの求婚 「ルツ記」3章1〜18節(その1)
ルツと結婚することについてボアズは自分からは積極的に動きませんでした。
その理由は
「たしかにわたしは近い親戚ではありますが、
わたしよりも、もっと近い親戚があります。」(12節)
というボアズの返事からわかります。
ボアズはたしかにエリメレクとナオミの親戚ではありましたが、
ボアズよりもさらに血縁的に近しい親戚が他にもうひとりいたのです。
その人物にルツを妻として迎える意思がある場合には、
それに対してボアズは何もできません。
おそらくこのためにボアズはルツに結婚を申し込まなかったのではないでしょうか。
ここでルツの姑が動き出します。
まるで実の母親であるかのように、
ナオミはルツにボアズへの求婚の仕方を教えます(1〜4節)。
レビラト婚は
女性の社会的・経済的な立場を保護するために定められた律法規定であり、
女性の側に積極的な役割が与えられていました(「申命記」25章7〜10節)。
「身を洗って油をぬり、晴れ着をまとって」(3節)
というナオミがルツに与えた指示は、
ルツが花嫁として婚礼を迎えるための準備に関わるものでした。
ちなみに「エゼキエル書」16章9〜12節にも
婚礼のための花嫁の身支度についての記述が出てきます。
実は、ボアズが本来贖い出すべき相手はルツではなくナオミでした。
しかし、すでに高齢になっていたナオミでは
もはや子どもを生むことができなかったので、
ナオミとのレビラト婚は実質上無意味でした。
それでナオミはルツにその権利を移譲したのです。
こうすることで、
エリメレクとナオミの一族に後継が生まれる希望がまだ残ることになるからです。