2020年10月15日木曜日

「ルツ記」ガイドブック ボアズの畑で 「ルツ記」2章1〜16節(その5)

ボアズの畑で 「ルツ記」2章1〜16節(その5)


当時のイスラエル人の社会の通例では、

モアブ人はイスラエル人の僕としてさえ登用されませんでした。

このことからルツの次の発言の意味が理解できます。


「彼女は言った、「わが主よ、まことにありがとうございます。

わたしはあなたのはしためのひとりにも及ばないのに、

あなたはこんなにわたしを慰め、はしためにねんごろに語られました」。」

(「ルツ記」2章13節、口語訳)

 

その後に、食事の時の様子が描写されます。

 

「食事の時、ボアズは彼女に言った、

「ここへきて、パンを食べ、あなたの食べる物を酢に浸しなさい」。

彼女が刈る人々のかたわらにすわったので、ボアズは焼麦を彼女に与えた。

彼女は飽きるほど食べて残した。」

(「ルツ記」2章14節、口語訳)

 

「レビ記」2章14節には、

主に捧げる「初穂の素祭」として「火で穂を焼いたもの」が出てきますが、

このような焼麦は畑の収穫に携わる者たちの食物でもありました。

その夜にルツは自分では食べきれないほどの大量の焼麦を持ち帰って

ナオミに分けることができました(18節)。

ここにはボアズの気前の良さがよくあらわれています。

より正確には、

ボアズの行いを通して神様御自身の気前の良さが表れているとも言えます。

 

「そして彼女がまた穂を拾おうと立ちあがったとき、

ボアズは若者たちに命じて言った、

「彼女には束の間でも穂を拾わせなさい。とがめてはならない。

また彼女のために束からわざと抜き落しておいて拾わせなさい。

しかってはならない」。」

(「ルツ記」2章15〜16節、口語訳)

 

この箇所でボアズが僕たちに与えた指示は

隣人愛に関するモーセの律法を超越しています。

ルツをきめ細かく支えようとするボアズの親身な姿勢が

ここにもよく表れています。

さらに、ボアズがルツを高く評価していたこと、

また他の僕たちもルツに敬意を持って接するようにボアズが望んでいたこと

わかります。