2018年10月31日水曜日

「ペテロの第一の手紙」ガイドブック 1章13〜25節 結論へ!(その7)

1章13〜25節 結論へ(その7)

ペテロを通して新約聖書に記された御言葉は、
キリスト教信仰の核心に触れる感動的なメッセージです。
それはまた宗教改革者マルティン・ルターの
「小教理問答書」での「使徒信条」の説明の背景にもなっています。
この教えはキリスト信仰者ひとりひとりに日々の生活の指針を与えてくれます。

「主は、
(罪に)敗北し永遠の滅びの宣告を受けた人間である私を、
金銀によってではなく、
御自身の聖なる尊い血、
罪なくして受けた苦しみ、
および死によって、
あらゆる罪と死と悪魔の力とから救い出し、
獲得し、勝ち取ってくださったことを、
私は信じます。

それは、
主が死からよみがえり、
永遠(の世界)において支配しておられるのと同様にして、
私が主に帰属する者となり、
私も御国において主の御許で活きて、
永遠の義の中で罪のない祝福された者として
主に仕えるようになるためです。
これは確かに本当のことです」

(ルター「小教理問答書」の使徒信条の説明より。
ドイツ語版から高木が訳出)

2018年10月22日月曜日

「ペテロの第一の手紙」ガイドブック 1章13〜25節 結論へ!(その6)


1章13〜25節 結論へ!(その6)

「あがない」という言葉は
新約聖書において極めて重要なキーワードになりました。
たとえば、次の一連の聖句を見てください。

「主なるイスラエルの神は、ほむべきかな。
神はその民を顧みてこれをあがない、
わたしたちのために救の角を僕ダビデの家にお立てになった」
(「ルカによる福音書」1章68〜69節、口語訳)。

「どうか、あなたがた自身に気をつけ、
また、すべての群れに気をくばっていただきたい。
聖霊は、神が御子の血であがない取られた神の教会を牧させるために、
あなたがたをその群れの監督者にお立てになったのである」
(「使徒言行録」20章28節、口語訳)。

「彼らは、価なしに、神の恵みにより、
キリスト・イエスによるあがないによって義とされるのである」
(「ローマの信徒への手紙」3章24節、口語訳)。

「キリストは、わたしたちのためにのろいとなって、
わたしたちを律法ののろいからあがない出して下さった。
聖書に、「木にかけられる者は、すべてのろわれる」と書いてある」
(「ガラテアの信徒への手紙」3章13節、口語訳)

「わたしたちは、御子にあって、神の豊かな恵みのゆえに、
その血によるあがない、すなわち、罪過のゆるしを受けたのである」
(「エフェソの信徒への手紙」1章7節、口語訳)

「しかしキリストがすでに現れた祝福の大祭司としてこられたとき、
手で造られず、この世界に属さない、さらに大きく、完全な幕屋をとおり、
かつ、やぎと子牛との血によらず、ご自身の血によって、
一度だけ聖所にはいられ、それによって永遠のあがないを全うされたのである」
(「ヘブライの信徒への手紙」9章11〜12節、口語訳)。

2018年10月3日水曜日

「ペテロの第一の手紙」ガイドブック 1章13〜25節 結論へ!(その5)

 1章13〜25節 結論へ!(その5)

ここでもう一度、第一章の教えに立ち戻ることにしましょう。
ペテロは「キリスト信仰者が聖なる者にふさわしい生き方をするように」
と奨励するさいに、次のことを思い起こすように促します。

「あなたがたのよく知っているとおり、
あなたがたが先祖伝来の空疎な生活からあがない出されたのは、
銀や金のような朽ちる物によったのではなく、
きずも、しみもない小羊のようなキリストの尊い血によったのである」
(1章18〜19節、口語訳)。

新約聖書に登場する「あがない」という言葉には
元々いくつもの意味が含まれていました。
このことに関連して、
旧約聖書は当時の世界の多様な側面を生き生きと私たちに開示してくれます。

困窮した家族は自分の土地さえも失ってしまう場合がありました。
しかし、いずれその土地を「あがなって」買い戻すことも可能でした。
旧約聖書の「ルツ記」にその例が記されています。

奴隷も「あがなわれる」ことがありました。
すなわち、
奴隷を自由の身にするために買い取ることができたのです。

神様はダヴィデを死から「あがなって」くださいました。
すなわち、
避けがたく見えた破滅の事態から救い出してくださったのです。

それと同様にして、
神様はイスラエルの民をエジプトから「あがない」だされました。
「出エジプト記」に記されているこの出来事の背景には、
犠牲の小羊の血が罪を帳消しにし、
人々をその罪から解放するために「あがなった」という事実がありました。

また、「詩篇」130篇8節には
「主はイスラエルをそのもろもろの不義からあがなわれます」(口語訳)
とあります。