やもめなどの人々への生活指針
「テモテへの第一の手紙」5章
助けを必要としているやもめたち(その2)
「テモテへの第一の手紙」5章1〜8節
やもめの重要な使命は祈ることでした(5章5節)。
「ルカによる福音書」にはアンナというやもめについての記述があります。
「また、アセル族のパヌエルの娘で、
アンナという女預言者がいた。
彼女は非常に年をとっていた。
むすめ時代にとついで、
七年間だけ夫と共に住み、
その後やもめぐらしをし、
八十四歳になっていた。
そして宮を離れずに夜も昼も断食と祈とをもって神に仕えていた。」
(「ルカによる福音書」2章36〜37節、口語訳)
当時、やもめは人々から軽んじられる社会的立場にありました。
彼らは周囲から見捨てられた人々だったのです。
旧約聖書には生活に必要な収入をやもめにも保証することを目的とした
様々な規定がありました
(「申命記」16章11節、24章17〜21節。
「イザヤ書」1章16〜17節も参考になります)。
「あなたがたのうちに分け前がなく、嗣業を持たないレビびと、
および町の内におる寄留の他国人と、孤児と、寡婦を呼んで、
それを食べさせ、満足させなければならない。
そうすれば、あなたの神、主は
あなたが手で行うすべての事にあなたを祝福されるであろう。」
(「申命記」14章29節、口語訳)
エルサレムの最初の頃の教会に設立されたディアコニア職は
やもめを支援するためであったことをここで思い起こしましょう
(「使徒言行録」6章1〜7節)。
次の「ヤコブの手紙」の箇所も参考になります。
「父なる神のみまえに清く汚れのない信心とは、
困っている孤児や、やもめを見舞い、
自らは世の汚れに染まずに、
身を清く保つことにほかならない。」
(「ヤコブの手紙」1章27節、口語訳)。
「これに反して、
みだらな生活をしているやもめは、
生けるしかばねにすぎない。」
(「テモテへの第一の手紙」5章6節、口語訳)
この節は売春婦に身を落としたやもめのことを指していると思われます。
当時、売春は
親戚同士の助け合いのネットワークから切り離された独り身の女性にとって
生活費を得るために残されたほとんど唯一の手段でした。
「もしある人が、
その親族を、ことに自分の家族をかえりみない場合には、
その信仰を捨てたことになるのであって、
不信者以上にわるい。」
(「テモテへの第一の手紙」5章8節、口語訳)
信仰がたんなる教義項目ではなく
日々の生活の中に具体的に見てとれるように
ならなければならないものであることをこの節は教えています。
第四戒(「あなたの父と母を敬え。
これは、あなたの神、主が賜わる地で、
あなたが長く生きるためである。」
(「出エジプト記」20章12節、口語訳))
に従おうとしない人は霊的に(信仰的に)死んでいるのです
(「ヨハネの黙示録」3章2節。
「マルコによる福音書」7章10〜13節、
12章38〜40節も参考になります)。
霊的に死んでいる人は
不信仰者以上にたちの悪い存在であるとさえ言えます。
「自分は霊的に(信仰的に)生きている」と思い込んでいるため
(「エフェソの信徒への手紙」4章17〜19節)、
「自分には悔い改めなど必要ない」と誤解しているからです
(「ペテロの第二の手紙」2章21〜22節)。