2024年8月12日月曜日

「テモテへの第一の手紙」ガイドブック 「テモテへの第一の手紙」4章1〜5節 偽りの禁欲主義のもたらす危険(その1)

 惑わされてはいけない!

「テモテへの第一の手紙」4章

 

偽りの禁欲主義のもたらす危険(その1)

「テモテへの第一の手紙」4章1〜5節

 

「しかし、御霊は明らかに告げて言う。

後の時になると、ある人々は、惑わす霊と悪霊の教とに気をとられて、

信仰から離れ去るであろう。」

(「テモテへの第一の手紙」4章1節、口語訳)

 

「後の時」は「終わりの時」とも訳されることがあります。

終わりの時、終末というと

イエス様の再臨が起きる直前の瞬間を表していると考えられがちです

(「マタイによる福音書」24章9〜11節、

「マルコによる福音書」13章21〜23節)。

しかし新約聖書によれば

「終わりの時」はすでにペンテコステ(聖霊降臨)の出来事から始まっており、

それ以後の時代はすべて「終末」であると言えます

(「ヘブライの信徒への手紙」1章1〜2節)。

終わりの時に起きることについては

「使徒言行録」20章29〜30節や「テモテへの第二の手紙」3章1〜5節

を参照してください。

 

サタンは人が宗教を真面目に実践しようとするのを悪用して

人が神様の御許から離れるように仕向けようとします。

サタンは光の天使に擬装することもできます

(「コリントの信徒への第二の手紙」11章14節)。

宗教的なるもののすべてが神様に由来するものではありません。

サタンは人間の考えでは正しく見えるような「迷いの霊」を使うこともあります

(「ヨハネの第一の手紙」4章6節)。

 

異端の発祥にはサタンが関与していることを覚えておかなければなりません

(4章1節、5章15節)。

異端は神様の敵であるサタンと緊密な関係を結んでいるのです

(「ヨハネによる福音書」8章44節、

「コリントの信徒への第二の手紙」2章11節、

「エフェソの信徒への手紙」6章11節、

「テサロニケの信徒への第二の手紙」2章9〜12節、

「ヨハネの第一の手紙」2章18節、4章1〜3節、

「ヨハネの黙示録」13章14節)。

 

「それは、良心に焼き印をおされている偽り者の偽善のしわざである。」

(「テモテへの第一の手紙」4章2節、口語訳)

 

この節には二通りの解釈が提案されています。

第一の解釈は一般的なものであり、

異端教師たちの良心に「焼き印」がおされていると考えます。

旧約聖書の世界では主人の所有物であることを明示するために

家畜だけではなく奴隷にさえ焼き印がおされました

(「出エジプト記」2章5〜6節、「申命記」15章16〜17節)。

「良心に焼き印をおされている偽り者」と呼ばれている人々は

サタンの所有物として焼き印をおされている

というのが上節の意味するところになります。

しかしこの焼き印は良心におされているものなので、

皆が一斉にそれに気が付くものではありません。

そのために、これらの人々は

依然として神様のために働いているようにも見えるのです。

 

第二の解釈では、

焼き印をおされた箇所は感覚の麻痺した傷跡になると考えます。

異端教師たちの焼き印をおされた良心はかたくなになり

麻痺してしまっているということです(1章19〜20節)。