2009年9月28日月曜日

マルコによる福音書について 14章43~52節

夜にまぎれた卑怯者たち 14章43~50節

過ぎ越しのお祝いの時期は満月でしたが、夜のとばりに包まれた園は逃げ出したい者にはその機会をすんなりと提供しました。大勢の人が動きまわっていたし、イエス様の敵は暗い中であてずっぽうに誰かのあとを追いかけていくことは避けようとしました。それで、はっきりとした合図として、ユダの口づけが必要でした。この合図のあと、戦いがはじまります。イエス様は暴力を用いた自己防衛を拒否なさいました。今や、最も陰鬱な聖書の箇所が書かれてあるとおりに実現する「暗闇の時」です。この結果、弟子たちは最後の勇気のかけらも失い、皆いっせいにその場を逃げ出しました。


これは誰ですか、マルコでしょうか? 14章51~52節
その時、その場に、福音書の読者の想像を掻き立てる「ある若者」があらわれました。おそらく若者の家は園のすぐそばだったのでしょう。最初に逃げ出した者たちの様子を見て、彼は何事かと思い、寝巻きのまま現場に駆けつけたのではないでしょうか。若者はあらわれたときと同様、またあっという間に消え去りました。この「意味がない」ように感じられる若者の行動を読んで、多くの人は「福音書記者マルコが自分自身のことをここに描き出しているのではないか」と想像しています。これはたしかにありえないことではないにせよ、たんなる推測の域をでるものでもありません。